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社員旅行、参加率50%未満でも「給与課税なし」になるケースとは?

  • 執筆者の写真: 智史 長谷川
    智史 長谷川
  • 2025年10月23日
  • 読了時間: 4分

―国税庁が示した新たな判断基準と実務対応のポイント―


記事要約


  1. 国税庁は、社員旅行の参加割合が50%未満でも「給与課税の対象外」とできる場合を明示。

  2. 参加率だけでなく、旅行の目的・内容・費用負担などを「総合的に勘案」して判断する必要。

  3. 実務上は、福利厚生規程や企画目的の明確化、費用の適正配分が重要。



ニュース概要


国税庁は、従来「参加者50%以上」を要件としていた社員旅行の非課税判断について、参加割合が50%未満でも給与課税の対象外となる場合があるとの見解を示しました。

具体例では、参加割合38%・3泊4日・費用総額15万円(会社負担7万円)というケースを挙げ、「社会通念上一般に行われているレクリエーション旅行」であれば非課税とされています。

ただし、これは「38%でOK」という単純な基準ではなく、旅行内容全体を総合的に判断する必要があります。


(参考)



中小企業経営者・起業家への影響


1. 柔軟な福利厚生企画が可能に


これまで「参加率が低いと課税リスクがある」と敬遠されていた社員旅行も、目的や運営次第で非課税とできる可能性が広がりました。

たとえば、育児や介護などで参加が難しい社員が多い小規模事業所でも、全社員に案内し、社内の親睦やモチベーション向上を目的とすることを明確にすれば、非課税扱いを受けられる余地があります。


2. ただし、形式的な運営では課税対象に


一方で、「参加率38%を確保していればOK」と誤解してしまうと危険です。

次のような場合は、給与課税の対象となる可能性があります:

  • 実質的に一部の部署・役職者のみの旅行になっている

  • 親睦よりも豪華な観光や接待的要素が強い

  • 不参加者に金銭を支給している

  • 規程や目的の記載が曖昧で「福利厚生」として説明できない



対策と実務対応のポイント


1. 福利厚生規程を整備する

「社員旅行は全社員を対象に実施する」「参加は自由とする」「目的は親睦および士気向上」と明文化しておきましょう。

規程に基づく実施であれば、税務調査でも説明がしやすくなります。


2. 旅行企画・費用の妥当性を保つ

  • 期間は「4泊5日以内」

  • 社員の自費負担も含めて過度に高額にならないように設定

  • 宿泊地や行程も「レクリエーション目的」であることを説明できる内容にする


3. 記録を残す

旅程表、参加者リスト、費用負担内訳、案内メールなどを保存しておきましょう。

特に「全社員に参加機会を与えた」証拠が重要です。



今後の動向


国税庁がこの判断を示した背景には、多様な働き方の広がりがあります。

リモート勤務や短時間勤務が一般化した今、「50%以上の参加」という従来基準では現実に合わない場面が増えました。

今後は、実態に即した柔軟な非課税判断が広がっていくと考えられます。

ただし、あくまで「社会通念上一般的な福利厚生」の範囲であることが前提で、豪華旅行や特定者向けイベントは引き続き課税対象となるでしょう。



よくある質問(Q&A)


Q1. 50%未満でも非課税になると、どの程度までOK?

→ 具体的な下限は明示されていません。過去の判例(大阪高裁昭和63年判決)を踏まえた「38%」が参考例に過ぎず、旅行の目的や運営形態が重要です。


Q2. 不参加者に金銭を渡した場合は?

→ 代替支給(例:商品券や現金)を行うと課税対象になります。旅行に参加しなかった社員への金銭支給は避けましょう。


Q3. 研修旅行でも同様の取扱い?

→ 研修目的が明確であれば「業務出張」として処理できますが、実態が観光中心であれば「社員旅行」とみなされ、課税リスクが生じます。



まとめ


  • 社員旅行は「4泊5日以内・全社員対象・社会通念上一般的」であれば非課税。

  • 参加割合50%未満でも、内容が福利厚生目的と認められれば課税されないケースあり

  • 判断基準は「割合」よりも「目的・運営・負担のバランス」。


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