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未払賞与はいつ損金になる?退職者がいる場合の注意点を整理

  • 執筆者の写真: 智史 長谷川
    智史 長谷川
  • 6 時間前
  • 読了時間: 4分

企業では、決算直前に「賞与を未払計上できるか」という相談を受けることがあります。

法人税では、一定の条件を満たすと「未払賞与」をその年度の損金に計上することが認められています。


しかし、要件を満たさないと損金算入できず、税務調査でも指摘されやすいポイントです。


特に注意が必要なのが「退職者への賞与の扱い」です。支給額の通知をしていても、支給日までに退職した従業員へ賞与を支給しない場合、未払賞与としての損金算入が認められないケースがあります。


本記事では、「未払賞与の損金算入ルール」と「退職者がいる場合の注意点」を整理します。




【記事の要約】


  • 賞与は原則「支払った事業年度」で損金になる

  • 未払賞与として損金算入するには3つの厳格な要件がある

  • 支給日前に退職した社員に賞与を支給しない場合は未払賞与の損金算入が認められない可能性が高い



【未払賞与とは何か】


通常、賞与は「実際に支払った日」の属する事業年度で損金になります。


例えば

3月決算の会社で6月に賞与を支払う場合

この賞与は翌期(6月の年度)の費用になります。


しかし、一定の条件を満たすと、まだ支払っていなくても「未払賞与」として当期の費用にできます。


これは

・支給額が確定している

・実際に近い時期に支払われる


といった場合に限り認められる例外です。



【未払賞与として損金算入するための3要件】


未払賞与をその年度の損金にするには、次の3つの条件をすべて満たす必要があります。


①支給額を従業員ごとに通知している


各従業員に対し

・個別に

・同時期に

・全従業員に


賞与額を通知している必要があります。


②決算後1か月以内に支払う


通知した賞与は

決算日の翌日から1か月以内

に実際に支払う必要があります。


③その年度で損金経理している


決算書上も、その年度の費用として処理しておく必要があります。



【よくある実務上の誤解】


ここで実務上よくある誤解があります。

「賞与額を通知したから損金になる」

これは半分正しく、半分間違いです。


重要なのは

「通知した全員に支払うこと」です。


ここで問題になるのが「退職者」です。



【退職者がいる場合の注意点】


税務上の重要ポイントはここです。

例えば次のケースです。


3月決算

3月20日 賞与額通知

4月20日 賞与支払予定


しかし


4月10日に従業員が退職

その人には賞与を支払わなかった

この場合どうなるでしょうか。


結論

未払賞与としての損金算入は認められません。


理由はシンプルです。


未払賞与の制度は

「通知した賞与は必ず支払われる」

という前提で認められているからです。


通知したにもかかわらず

実際には支払っていない場合

「賞与額が確定していない」と判断されます。


その結果、通知した賞与の全額が当期の損金として認められない

という扱いになります。



【「支給日に在職する者のみ支給」は注意】


多くの会社では就業規則で次のように定めています。

「賞与は支給日に在職する者に支給する」

これは実務上はよくある規定ですが、税務上は注意が必要です。


この規定がある場合、通知していても支給日までに退職した人には支払われない

ことになります。


そのため税務では

賞与額が確定していない

と判断され、未払賞与の損金算入が認められない可能性があります。



【まとめ】


未払賞与は、条件を満たすと当期の損金にできますが、要件は非常に厳格です。


特に重要なのは次の3点です。


・全従業員へ賞与額を通知

・決算後1か月以内に支払

・通知した全員へ支払う


支給日までに退職した従業員に賞与を支払わない場合、未払賞与としての損金算入が認められない可能性があります。


決算直前に慌てて対応するのではなく、賞与制度や就業規則と税務の整合性を事前に確認しておくことが重要です。


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