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社内コンテストの賞品は課税対象?非課税所得との違いをわかりやすく解説

  • 執筆者の写真: 智史 長谷川
    智史 長谷川
  • 10月28日
  • 読了時間: 4分

社内活性化の一環として、社員から新しい企画や改善提案を募る「社内コンテスト」を行う企業が増えています。

優秀な提案に賞金や賞品を贈るのは自然な流れですが、実はこの「賞品」には所得税の課税が発生するケースが多いのをご存じでしょうか?


この記事では、創業記念品や永年勤続表彰との違いを踏まえ、社内コンテストでの課税関係を整理します。

(参考)



記事要約


  1. 社内コンテストで支給する賞金・賞品は原則「課税対象」

  2. 創業記念品や永年勤続表彰などの記念品は一定要件を満たせば「非課税」

  3. コンテストの内容によっては「給与所得」か「一時所得」に分かれる



社内コンテストの賞品はなぜ課税されるのか


会社が従業員に与える経済的利益は、原則として課税対象です。


ただし、例外的に「創業記念品」や「永年勤続表彰」のように社会通念上相当とされる記念品については、一定要件を満たせば非課税とされています。


一方で、社内コンテストで支給される賞品や賞金は非課税の扱いにはなりません。

たとえ賞品が1万円以下でも課税対象です。

理由は、コンテストでの受賞が業務評価や成果に対して行われるものであり、労務の対価に近い性質を持つためです。


非課税となる記念品との違い


課税対象外となる記念品には、以下のような条件があります。

区分

主な対象

非課税要件

注意点

創業記念品・工事完成記念等

創業・合併・増資などの節目

処分見込価額が1万円以下(所得税基本通達36-22)

現金・商品券は課税

永年勤続表彰

勤続10年以上など社会通念上相当な年数

相当額の範囲での記念品支給(所得税基本通達36-21)

現金・商品券は課税


このように、節目や功労をたたえる目的の支給は非課税ですが、業績評価・アイデア表彰等は課税となる点が重要です。


所得区分の違い:給与所得か一時所得か


社内コンテストで支給される賞金・賞品は、次の2パターンに分類されます。

区分

内容

所得区分

税務上の扱い

通常の職務の範囲内での行為

例:商品企画担当者が業務の延長で提案

給与所得

給与として源泉徴収対象

職務外または特許等による成果

例:職務範囲外のアイデア・改善提案

一時所得

所得金額-特別控除(最大50万円)


例えば、商品企画部の社員が新商品案を提案して受賞した場合、それは通常の職務の延長とみなされるため給与所得です。


一方、全社員から自由なアイデアを募るような「全社コンテスト」で、業務とは直接関係のない提案が採用された場合には、一時所得として扱う余地があります。



実務上のポイント


① 支給目的を明確にする

社内コンテストを開催する際には、「業務成果の表彰」か「創意工夫・改善提案の奨励」かを明確にしましょう。目的によって所得区分が変わります。


② 源泉徴収の要否を確認

給与所得に該当する場合は源泉徴収が必要です。支給金額が少額でも、現金・商品券・金券類は必ず課税対象となります。


③ 一時所得として扱う場合の申告

一時所得となるケースでは、従業員本人が確定申告で特別控除(最高50万円)を適用できます。

ただし、他の一時所得(懸賞金、保険の満期金等)と合算されるため注意が必要です。



よくある質問(Q&A)


Q1. 賞金が5,000円でも課税されますか?

→ はい。金額にかかわらず、コンテストの賞金・商品券は課税対象です。


Q2. チーム受賞の場合の扱いは?

→ 原則としてメンバーごとに按分し、各人の給与等として課税します。



まとめ


  • 社内コンテストの賞金・賞品は原則「課税対象」

  • 創業記念や永年勤続表彰は、一定要件を満たせば「非課税」

  • 内容により「給与所得」と「一時所得」に区分され、処理が異なる


税務の取り扱いを理解したうえで、従業員の創意工夫を正当に評価する仕組みを整えることが、健全なモチベーション管理につながります。

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