起業前に知っておきたい資金調達の基礎知識|失敗しない事業スタートの第一歩
- 智史 長谷川
- 6月15日
- 読了時間: 5分
更新日:6月19日
「起業したいけど、お金がないから無理かも……」
そんなふうに悩んでいませんか?実は、起業に必要な資金をすべて自分で用意する必要はありません。
資金調達の方法を正しく知り、戦略的に活用すれば、リスクを抑えながら夢への第一歩を踏み出せます。
この記事では、中小企業の経営者や個人事業主、これから起業を考えている方に向けて、「資金調達の基本」と「具体的な方法」をわかりやすく解説します。
記事の要約
起業資金は「自己資金」「融資」「補助金・助成金」「出資」など多様な手段で調達できる
それぞれの資金調達方法にはメリット・デメリットがある
ステージに応じた最適な資金調達手段を選ぶことが成功のカギ
起業資金はどのくらい必要?
起業にかかる費用は業種や規模によって大きく異なりますが、一般的には以下のような項目が想定されます。
費目 | 内容例 |
開業費 | 会社設立費用、届出、事務手続き |
設備資金 | パソコン、什器備品、店舗内装など |
運転資金 | 家賃、人件費、仕入れ、広告費など |
予備資金 | 予想外の出費に備える余裕資金 |
初期費用として300万〜1000万円程度を想定するケースが多く、業種によってはさらに多額の資金が必要です。
近年では、インターネットを介してサービスを提供するビジネスモデルも多く、その場合は初期費用はほとんど発生しない例外ケースもあります。
主な資金調達の方法
自己資金
自分自身で用意する資金です。貯金や退職金、副業収入などが該当します。
メリット
調達コストがゼロ(利息や返済義務がない)
経営の自由度が高い
デメリット
資金に限界がある
リスクをすべて自分で背負う
補足:自己資金は「3分の1以上」が目安
金融機関による融資審査では、自己資金が総資金の3分の1以上あるかどうかが重視されます。これは、「自己責任でリスクを取っているか」「返済能力があるか」の指標とされているためです。
融資(借入)
金融機関や政策金融公庫からの借入。起業家向けの制度融資も充実しています。
メリット
比較的まとまった資金を調達できる
返済計画が明確で将来の資本計画を立てやすい
デメリット
返済義務がある
審査がある(事業計画書の提出が必須)
よく利用されている制度
日本政策金融公庫「新創業融資制度」
自治体の創業支援融資
補助金・助成金
国や地方自治体が提供する返済不要の資金援助制度です。
メリット
返済の必要がない
一定の社会的評価が得られる(実績になる)
デメリット
申請が複雑で手間がかかる
審査に通らなければ受給できない(不確実性が高い)
代表的な制度
小規模事業者持続化補助金
IT導入補助金
創業補助金(地域による)
補足
補助金は「後払い」が原則で、申請~入金まで半年以上かかることもあるため、短期資金繰りには注意が必要です。
参考:出資(エクイティファイナンス)
ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家から出資を受ける方法です。
メリット
返済不要で大きな資金が得られる
経営面でもサポートが得られることがある
デメリット
会社の一部を譲渡する必要がある(株式の希薄化)
投資家の意向が経営に影響する可能性がある
使われる場面
スタートアップの成長フェーズでの資金調達
プロダクトの開発やマーケティング強化
ステージ別おすすめ資金調達手段
ステージ | おすすめ手段 |
準備段階 | 自己資金、家族や知人からの借入 |
起業直前 | 自己資金+日本政策金融公庫の融資 |
起業後半年 | 補助金・助成金の活用、民間融資 |
成長フェーズ | 投資家からの出資、VC、クラファン等 |
起業家が陥りがちな資金調達の失敗例
1. 必要資金を甘く見積もった
→ 予備資金を含めた6か月以上の運転資金を確保することが重要です。
2. 補助金ありきの計画を立てた
→ 採択されないリスクを考慮し、自己資金や融資とのハイブリッド調達が望ましいです。
3. 融資を急ぎすぎた
→ 事業計画書の完成度が低いと融資審査に不利です。専門家のチェックを受けましょう。
よくある質問(Q&A)
Q. 起業時にいくら自己資金が必要ですか?
A. 一般的には300万円程度が目安とされますが、業種により異なります。最低でも総資金の3分の1程度は自己資金が望ましいとされています。
Q. 融資と補助金はどちらが有利ですか?
A. 補助金は返済不要ですが不確実性が高く、融資は確実性はあるものの返済が必要です。両方を組み合わせるのが理想です。
Q. 事業計画書はどの程度重要ですか?
A. 極めて重要です。融資・補助金・出資いずれも事業計画書の内容が審査の中心です。
事業計画書の作成を支援する無料ツール・サービス
事業計画作成に不安のある方でも以下のような公的支援や民間サービスを活用して、起業家のビジネスに合った事業計画を作成することが可能です。
J-Net21「事業計画作成ナビ」:中小企業基盤整備機構が提供する無料の計画書作成サポート
freee開業「事業計画ツール」:質問に答えるだけでドラフトが完成
よろず支援拠点(全国):無料で専門家相談が可能。起業支援にも強い
まとめ
起業にあたって「資金調達」は避けて通れないテーマです。自己資金だけに頼るのではなく、公的融資・補助金・投資家からの出資など、多様な手段を理解し、組み合わせて活用することが成功への近道です。
試してみよう|行動へのステップ
必要資金の見積もりを立ててみる → 開業費・設備費・運転資金を具体的に計算
補助金・融資制度を調べてみる → 「J-Net21」や「ミラサポplus」などの公的情報ポータルをチェック
事業計画書を作成する → 無料ツールを使ってまずはドラフト作成。専門家のアドバイスも受けてみよう