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出張手当は課税される?非課税にするためのルールと実務ポイント

  • 執筆者の写真: 智史 長谷川
    智史 長谷川
  • 9月2日
  • 読了時間: 3分

「社員に出張手当を出したいけど、税金はかかるの?」

「旅費規程って作らないとダメ?」


そんな疑問を持つ経営者の方は多いのではないでしょうか。

実は、出張手当は正しいルール(旅費規程)を整えて支給すれば、所得税が非課税扱いになります。

しかし、ルールを作らずに支給すると「給与」とみなされ、源泉徴収や消費税など税金の取り扱いに大きな影響が生じます。


この記事では、出張手当をめぐる税務上のルールを、わかりやすく解説します。

(参考)



記事の要約


  1. 出張手当は「旅費規程」を作って正しく支給すれば非課税になる

  2. 規程がなければ「給与」として課税され、税金の取り扱いに大きな影響がある

  3. 金額は「常識的に必要な範囲」で設定することがポイント


本文


出張手当とは?


出張手当とは、社員が出張に行くときにかかる食事代や雑費をカバーするための定額のお金です。

出張することで生じる雑多な費用を一律に精算する意味あいがあり、非課税とされています。

例:

  • 東京から大阪に1泊出張 → 日当3,000円を支給

  • 交通費・ホテル代は別に実費で精算


このように、出張にかかる実費とは別に支給するお金が「出張手当」です。


出張手当が非課税になる条件


所得税では、「その旅行に通常必要とされる費用の支出に充てられると認められる範囲内の金品」について非課税旅費としています。

そのための条件として以下を満たす必要があります。


(1)その支給額が、その支給をする使用者等の役員及び使用人の全てを通じて適正なバランスが保たれている基準によって計算されたものであるかどうか。→支給基準があるか


(2)その支給額が、その支給をする使用者等と同業種、同規模の他の使用者等が一般的に支給している金額に照らして相当と認められるものであるかどうか。→適正額か


旅費規程を作る


社内ルールをきちんと作っておくことが絶対条件です。

規程作成にあたっては以下の点を盛り込みましょう。

  • 出張手当の日額(役職ごとに設定OK)

  • 宿泊費・交通費の精算方法

  • 出張とみなす基準(何キロ以上の移動なら出張か)


出張手当の金額を決める


過大な金額を支給すると「給与」と判断されます。

例えば、1日3万円の日当を支給すれば、税務調査で問題になる可能性大です。

常識的な範囲で支給額を決定しましょう。


一般的に使われる国内出張の日額のイメージは以下の通りです。(産労総合研究所参考)

役職

日額の目安

役員

4,000~5,000円程度

管理職

2,500~3,000円程度

一般社員

2,000円程度

※日帰りは上記の半額、午後出発または午前帰社の場合も1日分は上記の半額など決め方を工夫します。


思ったよりも少なく感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、出張手当が給与認定された場合、以下のような税務上大きな影響があります。慎重に支給基準を決めましょう。


  • 源泉所得税の徴収漏れ

  • 消費税の仕入れ税額控除減少(消費税の納税額増加)

  • 支給対象が役員の場合、損金不算入(法人税等増加)

  • 支給を受けた個人の所得税が増加



よくある質問


Q1. 出張手当は必ず出さなければいけない?

A. 義務ではありません。交通費や宿泊費だけを精算してもOKです。


Q2. 出張が1日未満でも支給できる?

A. 可能ですが、数時間の外出に日当を出すのは不自然。課税対象になるリスクがあります。


Q3. 海外出張はどう扱う?

A. 海外の場合は物価も考慮し、外務省の規程や現地相場を参考にしましょう。



まとめ


  • 出張手当は、旅費規程に沿って常識的な金額で支給すれば非課税

  • 規程がない場合や過大な支給は「給与」とみなされ、税務上大きな影響がある

  • 適正にルールを作ることが節税にもリスク回避にもつながる


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