価格の決め方:フロントエンドとバックエンドで利益を伸ばす方法
- 智史 長谷川
- 7 日前
- 読了時間: 4分
「値段を上げたらお客様が減るかも…」
「でも、このままでは利益が出ない…」
経営者なら、一度はこの悩みに直面したことがあるでしょう。
実は、“価格”は売上だけでなく、経営の方向性そのものを決める戦略ツールです。
この記事では、
原価・価値・市場の3要素をもとにした価格の考え方
フロントエンド商品とバックエンド商品の活用法
今日からできる実践ステップを、できるだけわかりやすく解説します。
記事の要約
価格は「原価+価値+市場+目的」で決まる
フロントエンド(集客用)とバックエンド(利益用)を組み合わせる
“値下げ”ではなく“納得感”で選ばれる価格を作る
1. 価格を決める前に考えるべき「目的」
価格を決めるとき、最初に考えるべきは「何のためにその価格にするのか」。
目的 | 価格の方向性 |
新規客を増やす | 利益を抑えて“試してもらう価格” |
利益を増やす | 付加価値を高め“しっかり利益を取る価格” |
リピートを促す | お得感と満足感の両立 |
このとき活用できるのが、フロントエンド商品(集客用)と バックエンド商品(利益用)の組み合わせです。
2. フロントエンド商品とバックエンド商品の考え方
フロントエンド商品(集客用)
まずはお客様に体験してもらうための商品。利益よりも「知ってもらう・試してもらう」ことを目的とします。
小売業の例:
期間限定セール品
初回限定セット(例:化粧品ミニサイズ)
飲食業の例:
ワンコインランチ
テイクアウト限定メニュー
重要なのは「安いから」ではなく「体験して価値を感じてもらう」こと。
バックエンド商品(利益用)
一度体験したお客様に、信頼関係をもとに販売する本命商品です。
小売業の例:
定期購入プラン
プレミアムブランドライン
飲食業の例:
コース料理・宴会プラン
会員限定メニューや飲み放題プラン
フロントエンドで「満足」を作り、バックエンドで「利益」を生む流れが理想です。
3. 適正価格を導く3つのステップ
ステップ1:原価を把握する
まずは最低限、赤字にならない価格を出します。
価格 = 原価 ÷(1 − 利益率)
例)原価500円で利益率30%を狙うなら→ 500 ÷(1−0.3)= 約715円
飲食業なら「食材費+人件費+光熱費」、小売業なら「仕入+販売コスト+家賃按分」を必ず含めましょう。
ステップ2:顧客が感じる「価値」を考える
同じ商品でも、感じる価値は人によって違います。
味が良い
接客が丁寧
雰囲気が良い
地元産の素材を使っている
こうした「価格以外の魅力」を伝えることで、少し高くても選ばれます。
ステップ3:市場を調べる
近隣店舗やネット上の価格を確認し、相場を把握します。
その上で、「なぜこの価格なのか」を自信を持って説明できるようにしましょう。
4. 事例:小さなカフェの価格戦略で利益率アップ
カフェC店では、以前はすべてのメニューを「お手頃価格」で提供していました。
しかし利益がほとんど残らず、スタッフの負担が増える一方でした。
そこで戦略を変更。
フロントエンド:ワンコインモーニング(集客)→利益が出なくていい
バックエンド:ランチセット・スイーツプレート(利益確保)
結果、来店客数は1.3倍、利益率は20%→35%に改善。
「まず気軽に試してもらい、満足した人に次を提案する」流れが定着しました。
5. 値上げ・値下げの伝え方
値上げのとき
「品質向上のため」「地元食材の使用強化のため」など、理由を明確に伝えることが信頼につながります。
値下げのとき
安易に価格を下げると、ブランド価値が下がります。
代わりに「期間限定」「セット割引」「新メニューキャンペーン」として“特別感”を演出しましょう。
6. よくある質問(Q&A)
Q1. 値上げするとお客様が離れませんか?
→ 「理由」と「価値」が伝わっていれば離れません。むしろ信頼が深まります。
Q2. フロントエンドはどれくらい安くすればいい?
→ 原価を割らない範囲で「気軽に試せる価格」に。場合によっては原価割れしても集客にインパクトあれば〇
Q3. バックエンド商品をどう作ればいい?
→ お客様が「次に欲しくなるもの」を提案しましょう。
例:カフェなら「季節スイーツコース」や「定期チケット」など。
まとめ
価格は「数字」ではなく「戦略」です。
目的を決める(集客か利益か)
原価・価値・市場を把握する
フロントエンドとバックエンドで設計する
この3つを意識すれば、値下げに頼らない、“選ばれる価格設定”が実現します。