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2025年4月スタート!消費税「プラットフォーム課税」の仕組みと実務対応ガイド

  • 執筆者の写真: 智史 長谷川
    智史 長谷川
  • 7月1日
  • 読了時間: 3分

更新日:7月10日


2025年4月、日本の消費税制度に新たな改革が導入されます。

それが「プラットフォーム課税」です。iTunesやGoogle Playなどを介してデジタルサービスを提供する際、消費税の納税義務が国外事業者からプラットフォーム運営事業者へと移されます。

本記事では、制度の概要から影響、国内事業者の実務対応までをわかりやすく解説します。


(参考)国税庁 消費税のプラットフォーム課税について



記事の要約


  • プラットフォーム課税とは、国外事業者の消費税納税義務をプラットフォーム事業者に移す制度

  • 国内事業者はインボイスの発行元や仕入税額控除の可否を要確認

  • 対象取引や対象外の範囲を理解し、インボイス管理を見直す



プラットフォーム課税とは?


制度概要

「プラットフォーム課税」とは、国外の事業者がApp StoreやGoogle Playなどのデジタルプラットフォームを通じて日本の消費者にサービスを提供する際、プラットフォーム運営者が消費税の納税義務を負う制度です。2025年4月1日から施行されます。


背景

これまで、消費税は国外事業者自身が納税する必要がありましたが、実際には納税漏れが多く、国内事業者との間で税負担の不公平が生じていました。

この制度変更は、EUなど諸外国でも導入されているルールに倣ったもので、競争の公平性を確保するための一手です。



対象となる取引と事業者


対象取引

以下の条件を満たす場合、プラットフォーム課税の対象となります。

  • 国外事業者が日本の消費者にデジタルサービス(電気通信利用役務)を提供【消費者向け】

  • その取引が「特定プラットフォーム事業者」を介して行われる

  • 対価(代金)をプラットフォーム経由で受け取る


対象外取引

次のような取引は対象外となります。

  • 国内事業者間の取引

  • プラットフォームを介さない直接の取引

  • 純粋な企業間取引(リバースチャージ方式が継続適用)【事業者向け】


国税庁パンフレットより
国税庁パンフレットより

「特定プラットフォーム事業者」とは?

国税庁長官により指定され、年間50億円超の取引規模を持つ事業者が該当します。2025年7月時点では以下の企業が指定されています。

事業者名

プラットフォーム例

iTunes株式会社

App Store、Apple Books

Google Asia Pacific Pte.Ltd.

Google Play

アマゾンウェブサービスジャパン合同会社

AWS Marketplace

任天堂株式会社

Nintendo eShop


国内事業者への影響と注意点


1. 仕入税額控除の可否

国内事業者は、特定プラットフォーム事業者からインボイスを受領することで仕入税額控除が可能となります。以前は、国外事業者が登録していない場合、控除不可でしたが、今後は控除対象となる可能性が広がります。


2. インボイスの確認・管理

以下の点を必ず確認しましょう:

  • 発行元が「特定プラットフォーム事業者」であるかどうか(国税庁が随時公表しているリストで確認可能)

  • 適格請求書の形式を満たしているか


請求書や支払明細の管理ミスによって控除が漏れると、後々大きな負担になります。



よくある質問(FAQ)


Q1:AmazonやAppleの請求書でも仕入税額控除できる?

A:該当事業者が「特定プラットフォーム事業者」かつインボイス登録済であれば、可能です。※あくまで、電気通信利用役務の提供が対象で物品販売はプラットフォーム課税の対象外です。そのため、物品販売の場合は販売を行う国外事業者がインボイスに登録済みかどうかで判断します。


Q2:クラウドサービスの支払いも対象?

A:日本の消費者向けで、特定プラットフォーム経由であれば対象となります。事業者向けの取引(B2B)はリバースチャージ方式のままです。



まとめ


「プラットフォーム課税」は、デジタル時代における国際課税の新たな枠組みです。

これにより、国内外の事業者間で公平な税負担が実現される一方で、国内事業者は仕入税額控除の要件や請求書管理に新たな対応が求められます。

自社の取引が特定プラットフォーム事業者かどうか、インボイスの内容確認を今一度見直しましょう。


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