特許関連費用の会計・税務処理とfreeeでの実務対応
- 智史 長谷川
- 6月16日
- 読了時間: 3分
更新日:6月20日
特許は中小企業にとって競争力を高める重要な知的財産の一つです。
しかし、特許の出願や登録にかかる費用は複雑で、会計処理や税務、消費税の取り扱いも適切に行わなければなりません。
この記事では、特許関連費用の具体的な内容とその会計・税務処理、さらにクラウド会計ソフトfreeeでの実務対応について、分かりやすく解説します。
記事の要約
特許関連費用には「出願料」「審査請求料」「特許料」「代理人報酬」などが含まれ、取得までに1年以上かかることが一般的
自社開発と外部購入で会計処理や税務上の扱いが異なる点に注意
freeeでは勘定科目と消費税区分を明確に分けることが重要
特許関連費用とは
特許取得にかかる主な費用
費用の種類 | 内容 | 備考 |
出願料 | 特許庁へ出願する際に納付する費用 | 約14,000円 |
審査請求料 | 審査を希望する場合に支払う費用 | 基本料+請求項数×4,000円 |
特許料(登録料) | 登録後の維持費用(1年ごと) | 第1~3年目:2,100円+請求項数×200円 |
弁理士報酬 | 特許事務所に支払う手続き報酬 | 事務所ごとに異なる |
特許権の存続期間は出願日から原則20年間です。
会計処理・税務取り扱い・消費税の整理
会計処理(自社開発 vs 外部購入)
区分 | 内容 |
自社開発 | 出願料や審査請求料:原則「租税公課」などとして費用計上 設定登録料:特許査定後に「特許権」として資産計上も可 |
外部購入 | 購入費用+手数料等を「特許権」として資産計上 |
償却方法:特許権の耐用年数は法定8年です。
税務取り扱い(法人税)
法人税法基本通達7-3-3の2により、登録免許税等は取得価額に含めなくてもよい
外部購入は「購入代金+付随費用」が取得原価
自社開発は研究開発費は一括費用処理、出願料や登録料等は資産計上(特許権)だが、会計に一致させて費用処理するのが一般的
消費税の取扱い
支払先 | 内容 | 消費税区分 |
特許庁 | 出願料・審査請求料・登録料等 | 非課税(行政手続) |
弁理士・事務所 | 手続き報酬 | 課税(役務の提供) |
会計freeeでの処理方法
勘定科目と消費税の設定例
内容 | 勘定科目 | 消費税区分 |
出願料・審査請求料 | 「租税公課」 | 非課税 |
特許登録料 | 「特許権」まはた「租税公課」 | 非課税 |
弁理士報酬 | 「支払報酬料」または「支払手数料」 | 課税仕入 |
freee内での仕訳例
特許庁への支払い 借方:租税公課(または特許権)/貸方:普通預金 消費税区分:非課税
弁理士報酬 借方:支払報酬料/貸方:普通預金 消費税区分:課税
※ 源泉所得額が発生する場合は「預り金」として処理する
まとめ
特許関連費用は、内容ごとに会計処理・税務判断・消費税区分が異なるため、明確な区分と根拠に基づいた処理が求められます。
特に、出願から登録に至るまでのフェーズごとに処理方法が変わる点、そしてfreeeなどのクラウド会計ソフトで正確に処理するためには勘定科目と税区分を明示することが重要です。