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オンライン販売に取り組む際に必ず押さえたいポイント:中小企業・個人事業主向けガイド

  • 執筆者の写真: 智史 長谷川
    智史 長谷川
  • 11月25日
  • 読了時間: 5分


オンライン販売は、小さな事業でも全国・世界へ商品を届けられる大きなチャンスです。


一方で、リアル店舗とは異なる「落とし穴」や「見落としやすいリスク」も存在します。

特に中小企業・個人事業主の場合、限られたリソースでオンライン販売を進めるため、最初の設計や仕組み作りがとても重要です。


この記事では、オンライン販売を始める際に知っておきたい実務的なポイントを、専門用語をかみ砕きながらわかりやすく解説します。



【記事の要約】


・オンライン販売は、初期設計を間違えると運用コストが膨らみやすい

・販売ページの品質が売上に直結する

・在庫・配送・返品対応は想像以上に重要

・法令・表示義務を守らないとトラブルにつながる



【オンライン販売で最初に考えるべき3つのポイント】


オンライン販売を始める際は、次の3点をまず固めておくと失敗が大きく減ります。


販売する商品の「強み」と「価値の伝え方」

オンライン上では、商品を手に取って確認できないため「伝え方」がとても重要になります。

・誰向けの商品なのか

・どんな悩みを解決するのか

・他の商品と何が違うのか

これを文章と写真で明確に示すと、成果が大きく変わります。


販売チャネルの選択

自社サイト、ECモール(楽天・Amazon)、SNS販売など選択肢は多くあります。

それぞれメリット・デメリットがあるため、事業規模や狙いに合わせて選ぶことが大切です。

例)

・自社EC:利益率は高いが集客に時間がかかる

・Amazon:集客力抜群だが手数料が高い

・Instagram販売:スピード感はあるが運用負荷が大きい


運用体制の設計

オンライン販売は売ったら終わりではありません。

・受注処理

・配送手配

問い合わせ対応

返品対応

これらも含めた運用リソースを確保しておく必要があります。



【販売ページ作成で押さえるべき重要ポイント】


写真の質が「売れるかどうか」を左右する

オンラインでは、写真=商品そのものです。

特に小規模事業者は、スマホで十分なので以下の点を意識すると効果的です。

・自然光で撮影する

・背景をシンプルにする

・複数枚(正面・背面・使用イメージ)を用意する

・サイズや質感が伝わる写真を入れる


説明文は「不安を減らす」ことを目的に

オンラインでは買い手は常に不安を抱えています。

・商品はどんな素材?

・どれくらい持つ?

・どんな人に向いている?

・発送はいつ?

不安をあらかじめ潰しておくことで、購入率(コンバージョン)が上がります。


価格は「比較される」前提で設計する

オンラインではわずか数秒で競合商品と比較されます。

ブランド力・希少性・ストーリーを強化し「価格ではなく価値」で選ばれる設計が重要です。



【在庫管理・配送・返品対応で気をつける点】


在庫管理を甘く見ない

オンライン販売では「在庫切れ」や「在庫過多」が即、機会損失やキャッシュフロー悪化につながります。

システム連携(Shopify・BASE 等)を活用し、販売数と在庫を自動連動させることが理想です。


配送の品質は顧客満足に直結する

・発送が遅い

・梱包が雑

・追跡番号がない

これらだけでクレームになり、リピート率が大きく下がります。

配送は「売上の一部」と捉えることが大切です。


返品対応は明確にルール化する

オンライン販売にはクーリングオフ制度は適用されません。

そのため、返品・交換ルールを明確に提示することが重要です。

・返品の可否

・期限

・送料負担(どちらが負担するか)

・初期不良対応の手順

これらを購入前に明記しておくことでトラブルを防げます。



【法令・表示義務の確認】


オンライン販売には、実は多くの法律や義務が絡みます。

代表的なものは以下の通りです。


・特定商取引法(事業者情報・返品ルールなど)

・景品表示法(誇大広告の禁止)

・著作権法(写真・音源の無断使用NG)

・薬機法(化粧品・健康食品などは特に注意)


特に「効果を言い過ぎる表現」はリスクが大きいため、注意が必要です。



【事例:ネット販売で成功した小さな事業者】


手作り食品店A社では、オンライン販売開始時に次の改善を行いました。

・商品ページをプロに撮影してもらい写真を大幅改善

・「お客様の口コミ」を掲載

・配送を週1回から毎日発送体制へ変更

結果、3か月で売上が2.5倍に。


ポイントは「写真」「レビュー」「配送品質」の3点でした。


補足ポイント・注意点

SNS広告は少額からテストすると失敗しにくい

・最初から完璧を目指さず、小さく始めて改善を繰り返す

自動化(在庫・決済・予約発送)を積極的に組み込むと負荷が下がる



【よくある質問】


Q:とりあえず BASE や STORES で始めても大丈夫?

A:はい。小規模事業者は無料プランから開始して「写真と説明文の質」をまず高めるのがおすすめです。


Q:ネット広告は必須ですか?

A:必須ではありませんが、検索されにくい商品は相性が良いです。少額からテストするとリスクが小さく済みます。


Q:SNSだけで販売するのはアリ?

A:アリですが、アルゴリズムの変化に左右されるため「自社ECの併用」が長期的には安全です。



【まとめ】


オンライン販売は、低コストで始められる一方で、仕組みづくりを間違えると運用が回らなくなることがあります。

特に「写真」「説明文」「配送」「法令対応」の4点が売上と信頼性を大きく左右します。

小さく始めて改善を繰り返すことで、売上もファンも着実に増やせます。



【試してみよう】


・今ある商品写真を見直してみる

・説明文に「不安を減らすポイント」が含まれているか確認する

・配送・返品のルールを整理してページに明記する


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