交際費・会議費・福利厚生費の違いと正しい経理処理のポイント【中小企業向け】
- 智史 長谷川
- 8月1日
- 読了時間: 3分
経費処理において「これは交際費?それとも会議費?福利厚生費?」と迷うことはありませんか?
特に中小企業や個人事業主にとって、税務上の取扱いを誤ると経費として認められない可能性があります。
この記事では、それぞれの違いと判断基準、正しい処理方法について実務目線でわかりやすく解説します。
記事の要約
交際費・会議費・福利厚生費は「目的」「対象者」「金額基準」で区別する
会議費の飲食代は2024年税制改正で1人10,000円まで拡大
税務調査でも安心な経理処理のために「記録と証憑の整備」が必要
交際費・会議費・福利厚生費の違いを理解しよう
交際費とは?
交際費とは、取引先や顧客などの社外関係者との関係構築を目的として支出する費用です。具体的には以下が該当します。
接待や会食費(例:取引先との飲み会)
ゴルフ、観劇、接待旅行など
お中元・お歳暮などの贈答品
慰労や歓送迎会の費用(社外含む場合や特定社員のみ)
【注意点】
社内の特定少人数(役員・一部社員)のみの飲食も交際費(または給与課税)の対象になります。→「社内交際費」
対象者の明確な記録が必要です。誰と何の目的で使ったのか、取引先名や人数、内容(例:○○商事○名との商談後の食事)を領収書や会計帳簿に正確に記載します。
【税制上の制限】
中小企業(資本金1億円以下)では、以下のいずれかを選択できます:
年間800万円までの交際費を損金算入できる
接待飲食費の50%を損金算入できる
会議費とは?
会議費は、業務に関する会議や打ち合わせに伴う支出を指します。主な項目は以下のとおりです。
会議用の飲み物・弁当代
会議資料のコピー費、印刷費
会議室のレンタル費用
ランチミーティング
【注意点】
会議の記録(開催日時、場所、参加者、議題)を残してください。単なる飲食会でなく、会議であることの証明がポイントです。
領収書には「会議名」「参加者名」など明記
【飲食費の新ルール(2024年改正)】
社外の人が参加する飲食で、1人あたり10,000円(税込)以下の飲食代であれば、会議費として処理可能です。従来は5,000円まででした。(社内交際費は金額基準なし)
福利厚生費とは?
福利厚生費は、自社の従業員の働きやすさ・健康・生活をサポートする目的で支出する費用です。
健康診断、予防接種費用
社員旅行や社内イベント(忘年会など)
慶弔見舞金、結婚祝い金
慰労や歓送迎会の費用(全社員対象)
【判断基準】
全社員を対象にしていること
常識的な金額であること
たとえば、役員だけの慰労会は福利厚生費ではなく交際費や給与課税対象になります。
【注意点】
目的や参加者に加え、実施頻度や規模なども記録に残し、福利厚生目的と分かるよう記録しておきます。
社内規定に福利厚生の範囲を明記しておくとベター
家族のみの会社で福利厚生費を支出する場合は、給与課税される可能性が高いです。
まとめ
交際費・会議費・福利厚生費の分類は、目的・対象・金額で明確に区別できます。
これらを正しく処理することで、税務上のトラブルを回避し、経費として適正に認められる可能性が高まります。
以下の点について、もう一度確認しましょう。
証憑(領収書・レシート)添付は必須。口頭説明だけでは経費算入が認められにくいため、証拠の書類管理を徹底しましょう。
税務調査対策:内容・対象・理由を会計帳簿に残しておくと、後日の税務調査(税務署からの説明要求)時にも安心です。