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日本小説が英国で支持される理由 ― 日本文化の受け入れから見る日本ビジネスの可能性

  • 執筆者の写真: 智史 長谷川
    智史 長谷川
  • 9月1日
  • 読了時間: 3分

最近、日本の小説がヨーロッパで大きな注目を集めています。

特に英国では、柚木麻子さんの『BUTTER』がベストセラーとなり、日本での販売部数を超えるほどの人気を博しました。

なぜ異文化である英国等で、これほど日本文学が愛されるのでしょうか。

日本文学以外にも日本ビジネスを広げるヒントを探ります。



記事の要約(出典:日本経済新聞 2025年9月1日記事)


  • 『BUTTER』は英国大手書店チェーン「ウォーターストーンズ」で「今年の一冊」に選ばれ、日本での売上を超えるヒットに。

  • 2024年、英国で売れた翻訳小説の上位40作のうち4割以上を日本作品が占め、日本文学ブームが到来。

  • 女性作家の活躍や翻訳家の存在、訪日観光やクールジャパンの人気が背景にある。他のビジネスを広げるための共通点がある。



本文


なぜ『BUTTER』が受け入れられたのか

『BUTTER』は、実在の事件をモチーフにした社会派小説です。

女性記者が、男性から財産を奪い殺人容疑をかけられた女性を取材する物語で、食文化を通じて人物像に迫っていきます。

イギリスの読者は、この「女性としての悩み」や「人間関係のもつれ」に強く共感しました。

さらに、日本ならではの料理(バターラーメンや鉄板焼きのガーリックライスなど)が新鮮で、文化的な魅力を感じられる点も人気の理由です。



普遍性と「日本らしさ」の両立

日本小説の魅力は、普遍的なテーマ独自の文化的要素が同時に描かれている点にあります。

  • 普遍性:友情、恋愛、働き方、ジェンダーなど、どの国の人も共感できる問題。

  • 日本らしさ:コンビニ、食文化、日常風景といった身近な描写。


このバランスがあるからこそ、英国の読者も「自分ごと」として物語に入り込みつつ、異文化の魅力を楽しめるのです。


翻訳と出版の工夫

『BUTTER』の翻訳を担当したのは英国在住の女性翻訳者でした。

イギリス英語ならではの自然な表現を盛り込み、現地の読者がすっと受け入れられる文章に仕上げています。

また、最近では「最初から海外出版を意識した小説企画」も出てきており、日本の出版社と海外出版社がタッグを組んで展開しています。

これは日本文化を輸出する新しい動きといえるでしょう。


クールジャパンと文化の広がり

訪日観光客の増加も日本小説人気を後押ししています。

実際に日本を訪れた人、あるいは行けなくても日本文化に憧れる人たちにとって、小説は「日本を味わう入り口」になります。



記事内容からビジネスにつながるヒント


  1. 「普遍性+日本らしさ」が武器になる

    • 日本の小説が共感を得たのは「人間関係・社会問題」といった普遍的テーマに加え、食文化など独自の要素を盛り込んだから。

    • ビジネスでも「グローバルに通じる価値」+「日本特有の強み(品質、丁寧さ、文化性)」の組み合わせが有効。


  2. 翻訳=現地化の重要性

    • 英国での成功は「現地の感覚を理解した翻訳者」の存在が大きい。

    • 企業活動でも、現地市場に合った表現・デザイン・商習慣へのアジャストが不可欠。


  3. 世界市場は“日本発”に前向き

    • 海外出版社や読者が積極的に「日本作品を発掘」していることは、グローバル市場に日本由来の新しい価値を受け入れる余地が大きいことを示す。

    • 製品やサービスでも「まだ知られていない日本発」を売り込むチャンスがある。



まとめ


日本の小説がヨーロッパで愛される理由は、

  1. 共感できるテーマ(友情・恋愛・社会問題)

  2. 日本らしい文化的描写(食、日常、コンビニ)

  3. 翻訳や出版の工夫、クールジャパンの流れにあります。


これは単なる文学の流行ではなく、日本文化全体が持つ可能性の広がりを示しています。

そして、日本のビジネスが海外進出できるための共通のヒントがここにあります。

共通の価値観に対して日本の文化を融合させて、現地モデルにアレンジすることは、海外に受け入れられる不可欠の要素になるでしょう。

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