生涯現役で働くために──健康と心を守る「セルフケア」の教科書
- 智史 長谷川
- 7月29日
- 読了時間: 4分
「このまま働き続けて大丈夫かな?」と不安を感じたことはありませんか?
年齢を重ねても、充実した毎日を送るには、なによりも「健康」が土台になります。
産業医である吉田英司氏の著書『一生健康に働くための心とカラダの守り方』は、働くすべての人に向けた“生涯現役”を支える実践的なアドバイスが詰まった一冊です。
本記事では、その感想とともに、私たちの働き方にすぐ役立つヒントを紹介します。
記事の要約
健康を守る第一歩は「体調の異変」に早く気づくこと
心の不調は“適応のズレ”が原因。環境と自分を知ることがカギ
笑う、挨拶する…ちょっとした行動が回復のスイッチになる
体と心、両方を守ることが「生涯現役」の前提条件
「何歳まで働きたいか」よりも、「何歳まで健康でいたいか」が重要です。
本書では、健康とは単に病気がない状態ではなく、“生き生きと働ける体と心を持つこと”だと強調しています。
働きながら不調を感じている人は少なくありません。突発性難聴、顔面神経麻痺、慢性的な疲労感、さらにはメンタルヘルスの問題…。
これらは特別なことではなく、誰にでも起こりうる「働き方の副作用」なのです。
体からのサインに早く気づこう
例えば、突発性難聴は“耳が詰まった感じ”や“人の声がこもって聞こえる”というサインから始まります。
発症から2週間以内に治療しないと、聴力が戻らないこともある重大な病気です。
また、座りすぎによる腰痛や血流障害も現代病のひとつ。
1日に9時間以上座っている人は、将来的な死亡リスクが上がるという研究もあります。
ほんの数分でも、立ち上がって足を動かすだけで大きな効果があるといいます。
疲労感の正体は「身体の防御反応」
「休まないとまずい」と身体が教えてくれているサイン、それが疲労感です。
それでも多くの人が、「気合い」で乗り越えようとして悪化させてしまうのが現実です。
そんなときは、自分の状態を職場や家族に伝え、数日間の休養を“安心して取れる環境”を作ることが必要です。
心の不調は「環境」と「性格」のミスマッチから
メンタルヘルスの問題は、今や誰にでも起こりうるもの。
実際に生涯のうち5人に1人が何らかの精神疾患にかかるというデータもあります。
本書では、職場環境(業務量、人間関係など)と自分の特性(性格、生活状況)がかみ合わないと、次のような不調が出るといいます。
頭が働かず、仕事が遅れる
意欲や集中力が低下する
記憶力が落ちる
これらが続くと、うつ状態に近づき、最終的には休職や離職という選択をせざるを得なくなります。
不眠は最大のストレスサイン
特に注意すべきなのは「睡眠」です。
眠れない、夜中に起きる、早朝に目が覚める――これらはすべて“心の不調の入り口”です。
放置すると、朝起きられなくなり、出社が難しくなり、仕事の質も低下します。
まずは「最近よく眠れていない」と気づくことが、予防の第一歩なのです。
自分の“ストレス症状”を知っておく
頭痛、肌荒れ、腹痛、耳鳴り、微熱…。これらの“なんとなく不調”は、実は心のストレスが引き起こしているかもしれません。
本書では、「自分がストレスを感じたときに出やすい症状」を覚えておくことが大切だと述べています。
たとえば「ストレスがかかると頭痛がする」という人なら、その時点で早めに1日休む、といった対策をとることができます。
回復を助ける「3つの行動習慣」
本書が印象的だったのは、「治療」や「診断」よりも先に、“小さな行動”の重要性を語っている点です。心身の回復を促すには、以下の3つの行動が特に効果的です。
1. 笑顔を意識して増やす
笑うと、脳内でエンドルフィンという快楽ホルモンが分泌され、ストレスが和らぎます。お笑い動画、家族の写真、かわいいペットの写真など、“クスッと笑えるもの”を日常に取り入れるのがおすすめです。
2. 挨拶だけは続ける
会話の余裕がないときでも、「おはようございます」「お疲れさまです」といった挨拶は無理なくできます。たとえ体調が悪くても、挨拶によって周囲とのつながりを保つことができます。
3. 「週末仕事」をやめる方法を工夫する
仕事を週末まで持ち越してしまう人は、「土曜は遊んで、日曜だけ仕事する」と最初に決めておくのがおすすめです。
また、日曜に登山や食事など予定を入れておくことで、土曜夜が自然と“締切”になり、集中力が高まります。
まとめ:自分の「健康サイン」にもっと敏感になろう
『一生健康に働くための心とカラダの守り方』は、「我慢する働き方」から「自分を守る働き方」へと意識を変えるきっかけを与えてくれました。
今や、健康は自己管理だけでなく「戦略的な仕事力」のひとつです。
本書に書かれているように、ちょっとした休息や笑い、そして“異変に早く気づく力”を大切にしながら、長く働き続けるための自分だけのスタイルを作っていきましょう。
試してみよう(行動リスト)
自分の“ストレス症状”を3つ書き出してみる(例:頭痛・不眠・腹痛など)
スマホに「見て笑える写真」フォルダを作る
今週の「立ち上がる時間」を1日5回意識的に入れてみる