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“仕事中心の生活”の限界と、新しいパフォーマンス習慣

  • 執筆者の写真: 智史 長谷川
    智史 長谷川
  • 4 日前
  • 読了時間: 4分

更新日:3 日前


三笠書房『疲れない脳をつくる生活習慣』(石川善樹)は、経営者やビジネスパーソンこそ「仕事中心の生活から卒業すべきだ」と強く訴える一冊です。読み進める中で、脳科学の知見と実践的な生活習慣が結びつき、「長期的に成果を出すためには、まず脳を疲れさせない仕組みが必要」というメッセージが深く刺さりました。


この記事では、特に心に残ったポイントを整理しながら、実務者としてどのように活かせるのかを考えていきます。


【記事の要約】


  1. “仕事を中心に据える生活”は、脳のパフォーマンスを確実に下げる

  2. 呼吸・瞑想・姿勢・睡眠・食事という「脳を整える5つの習慣」が、長期的な高パフォーマンスの基盤

  3. 刺激を減らし“かすかな変化を感じる脳”を鍛えることが、集中力と創造性の向上につながる



【仕事中心の生活から卒業するという発想】


本書で最も印象的だったメッセージが「仕事を生活の中心に置くと脳も体も擦り減る」という指摘です。

一見すると「もっと働け」「効率を上げろ」と求められる現代では逆説的に思えますが、科学的な根拠に基づいた提案です。


仕事を中心に据え続けると、休息は「余り時間」でしか確保できません。その結果、睡眠や食事が不規則になり、ストレスホルモンが増え、判断力・集中力・創造性が落ちていきます。

本書は、これを“パフォーマンスの長期的な毀損”として明確に警告しています。


つまり、

仕事中心 → 脳が疲弊 → 生産性が下がる → さらに仕事が終わらない

という悪循環です。


ここから抜け出すには、生活の中心を「呼吸・瞑想・姿勢・睡眠・食事」という基本習慣に戻す必要があります。これが次のポイントにつながります。



【脳のパフォーマンスを最大化する5つの習慣】


本書で繰り返し強調されるのは、次の5つの習慣を“生活の中心”に据えることです。


・呼吸・瞑想・姿勢・睡眠・食事


仕事よりも先に、これらを整える。すると逆説的に仕事の集中力と効率が高まるという説明です。


中でも印象深かった話を抜粋してご紹介します。



呼吸:ゆっくり吐くことが脳を整える


呼吸は最も手軽で、誰でもその場で始められる“脳のチューニング”。

ポイントは「ゆっくり長く息を吐く」こと。


・吸う → 交感神経が働く

・吐く → 副交感神経が働く


ゆっくり息を吐くことで、副交感神経が優位になり、緊張がほぐれていきます。

さらに血中の二酸化炭素がわずかに増えると、幸福感をもたらすセロトニン分泌も高まるという話は非常に興味深いものです。聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。


わずか数十秒の呼吸が、心の状態をガラリと変える。

この“即効性のある回復手段”は、忙しい経営者ほど価値が高いと感じます。



瞑想:弱い刺激を感じ取る力をつける


マインドフルネス瞑想の本質は「注意をどこに向けるかのトレーニング」。

呼吸のような“非常に弱い刺激”に注意を向け続けることで、脳の感度が磨かれていきます。


本書が示す例が印象的です。


・味の濃い料理ばかり → 味覚が鈍くなる

強い情報刺激(ハリウッド映画など)ばかり → 脳が受け身でしか働かなくなる


逆に、

・薄味を味わう

・呼吸や小さな変化に注意を向ける

これは“弱い刺激を取りにいく訓練”になります。


その結果、

「今日の呼吸はいつもと違う」

「なんとなく集中が切れそう」

といったかすかな変化に気づけるようになる。


これはビジネスの世界でも本質的です。

大事な兆しは必ず“弱いサイン”から始まるからです。



睡眠:疲れを取るだけでなく、長期的に成果を出す戦略


睡眠に関する話も非常に示唆的でした。


本書では、経営者ほど「意識的に休みを入れなければ際限なく働いてしまう」と指摘しています。

そこで、エグゼクティブコーチたちは必ず“事前に休暇をブロックする”よう指導するとのこと。


ビル・ゲイツの「think week」もその一例で、

・1年に1度

・1週間必ず仕事をしない

という徹底ぶり。


これを本書では

・積極的休養(考える・整える)

・消極的休養(疲れをとる)

と整理し、両者を計画的に取り入れることが“疲れない脳”の必須条件だと解説します。


私自身も、多くの中小企業経営者を支援する中で「休まないと判断が鈍り、余計なコストが増えるケース」を何度も見てきました。

休みは贅沢ではなく、投資である。これは本書の大きなメッセージです。



【まとめ】


『疲れない脳をつくる生活習慣』は、ビジネスの成果を「仕事量」ではなく「脳と体のコンディション」という軸で捉え直す考え方を示してくれます。


・ゆっくり呼吸する時間

・弱い刺激を感じ取る力

・瞑想で注意力を鍛える

・休暇をあらかじめ組み込む


これらは一見シンプルですが、脳科学の裏付けがあり、実務にも直結します。

仕事の成果に悩む人ほど、まずは“疲れない脳”をつくる生活習慣から整えるべきだと教えてくれる一冊でした。

今回ご紹介した内容はほんの一部ですので、興味を持たれた方はぜひ書籍を手に取ってみてください。


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