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フリーランス法とは?2024年施行の新ルールをわかりやすく解説

  • 執筆者の写真: 智史 長谷川
    智史 長谷川
  • 7月24日
  • 読了時間: 5分

2024年11月、フリーランスの取引環境を守るための新しい法律「フリーランス法」が施行されました。

「個人事業主や一人会社として働くけど、契約や支払いが不安…」と感じたことはありませんか?

この記事では、フリーランス法のポイントを整理し、実務への影響や注意点をわかりやすく解説します。


(参考)



記事の要約


  • フリーランス法は、報酬の支払いや契約明示、ハラスメント防止を義務付けた新法

  • 従来の労働法や下請法と異なり、資本金要件なしでフリーランスを広く保護

  • フリーランス・発注者双方が契約と業務を見直すきっかけになる



フリーランス法とは?


正式名称は「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」。

フリーランス(個人事業主や、役員・従業員を持たない一人会社)が業務を請け負う際、委託元の事業者に対して以下を義務付ける法律です。


  • 契約条件(報酬額・支払日・契約期間など)の書面や電子文書での明示

  • 報酬の遅延防止、契約終了の30日前予告

  • ハラスメント防止措置の実施

  • 違反時には行政指導や監督の対象


これにより、フリーランスの立場でも取引条件が透明になり、トラブルを未然に防ぎやすくなります。



背景:なぜフリーランス法が必要だったのか


フリーランスは自由な働き方が魅力ですが、発注者との交渉力の差から次のような問題が起きやすい現状がありました。


  • 「契約書をもらえないまま業務を開始」

  • 「報酬が支払われない・支払いが遅れる」

  • 「一方的に契約を打ち切られた」

  • 「ハラスメントや不当な要求を受けた」


こうした課題を改善し、安心して働ける仕組みをつくるために制定されたのがフリーランス法です。



他の法律との違いを押さえよう


フリーランス法と労働法の違い


フリーランス法は「独立した事業者」を保護するための法律で、雇用関係が前提の労働法とは仕組みや守られるポイントが大きく異なります。

観点

フリーランス法

労働法(労働基準法など)

詳細ポイント

対象者

個人事業主・役員や従業員を置かない一人法人(特定受託事業者)

雇用契約を結んだ労働者

フリーランスは「指揮命令」を受けずに自律的に業務を行う

契約形態

業務委託契約・請負契約

雇用契約

委託側と対等な取引契約の形を取る

保護内容

・契約条件の明示義務(報酬額・支払日・契約期間など)


・報酬の遅延防止


・ハラスメント防止措置

・労働時間・休憩・休日・最低賃金・割増賃金など就業条件保護


・解雇制限

フリーランスは就業時間や休日の規定はなく、報酬や契約の透明性が重視される

行政の関与

違反時に行政が指導・監督

労働基準監督署が監督・是正

いずれも相談窓口あり

募集時の表示義務

業務委託の契約締結時に条件明示

求人募集段階から労働条件を明示

フリーランス法は契約締結時がポイント


ポイント

  • フリーランス法は、労働者のように働くが実態は「個人事業主」である人を想定。

  • 実態として「労働者」にあたるなら、フリーランス法ではなく労働法が優先されます。

  • よって、契約書を作成する際に「業務委託か雇用か」を慎重に判断する必要があります。


フリーランス法と下請法の違い


下請法は資本金要件を基準にした取引規制で、フリーランス法とは守る対象と範囲に違いがあります。

観点

フリーランス法

下請法

詳細ポイント

規制対象

フリーランス(特定受託事業者)と取引するすべての事業者

資本金要件を満たす上請企業と下請事業者

フリーランス法は資本金不問、広い範囲をカバー

保護対象

個人事業主・一人法人など

資本金1,000万円以下などの下請事業者

フリーランスの定義は「従業員を雇わない」ことが条件

資本金要件

なし

発注・受注双方の資本金により決定

中小企業同士の取引で下請法が適用されないケースでも、フリーランス法は適用される可能性がある

適用取引

自社使用目的を含む業務委託(継続的なもの)

販売や請負業務など業として行われる取引

社内業務を外注した場合は下請法対象外だが、フリーランス法なら対象になる場合あり

主な義務

契約条件の明示、報酬支払期日の設定、ハラスメント防止

代金支払60日以内、減額禁止、不当な返品の禁止など

フリーランス法は「働く環境」に踏み込んだ義務がある

罰則

50万円以下の罰金など

50万円以下の罰金など

罰則水準はほぼ同じ


ポイント

  • 下請法はあくまで「取引条件の適正化」に焦点を当てているのに対し、フリーランス法は「取引の適正化+働く環境の整備」にまで踏み込みます。

  • 下請法の適用外でも、フリーランス法が適用されるケースが多い点が特徴です。



実務への影響とポイント


フリーランス側

  • 業務を開始する前に契約書を必ず受け取り、内容を確認する

  • ハラスメントや不当な要求を受けた場合は相談・通報が可能

  • 条件が明記されるので、報酬トラブルが起こりにくくなる


発注者側

  • 取引条件を必ず文書で明示するフローを整備する

  • 報酬支払い期日の管理や、契約解除時の予告を徹底する

  • ハラスメント防止の社内体制を整える



よくある質問(Q&A)


Q:短期のスポット業務にも適用されますか?

A:継続的な業務委託(例:1か月以上)が対象となります。スポット業務は対象外のケースもあります。


Q:法人化した一人会社でも保護されますか?

A:はい。代表者以外に役員や従業員がいない法人も「特定受託事業者」として保護されます。


Q:契約書は紙でなければいけませんか?

A:いいえ。電子契約やPDFなど電子文書でも問題ありません。



まとめ


フリーランス法は、フリーランスという「独立した事業者」を守るための新しい法律です。

契約条件の明確化、報酬支払いの確保、ハラスメント防止などを通じて、安心して業務を遂行できる環境を整えることを目的としています。

これからの時代、発注者もフリーランスも法を理解し、適切な取引を進めていくことが重要です。


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