フリーレントの税務ルールが明確に!2025年度から新しい取扱いに
- 智史 長谷川

- 10月13日
- 読了時間: 3分
記事要約
「フリーレント(家賃が一定期間無料)」の法人税処理ルールが新設
2025年(令和7年)4月以降の事業年度から、「賃料総額を期間で割って費用にできる」
中小企業でも、会計処理とそろえて対応できるようになる
ニュース概要
(出典:税務通信 第3862号・国税庁 2025年8月)
国税庁は、令和7年度税制改正にあわせて「フリーレント期間を含む賃貸借契約」の法人税の扱いを新しく定めました。
これにより、フリーレント契約であっても、全体の家賃総額を賃貸期間でならして費用計上(損金算入)できることが正式に認められます。
これまでの実務では「家賃を支払った時点で費用にする」ことが多く、税務上の考え方が統一されていませんでした。
今回の新ルールで、企業会計(リース会計基準)と法人税の処理がそろい、実務が分かりやすくなります。
フリーレントとは?
フリーレントとは、「入居後の数か月間、家賃を無料にする」という仕組みです。オフィスや店舗の契約でよく見られ、新しく借りる側の初期負担を減らすために使われます。
たとえば、
契約期間3年
最初の3か月は家賃ゼロ
その後は月30万円
という契約であれば、家賃総額は990万円(30万円×33か月)になります。今回の改正後は、この990万円を36か月で平均して費用にできるという考え方になります。
中小企業や起業家への影響
メリット:決算の見通しが立てやすくなる
これまでのように「支払時に費用を計上」すると、初年度は家賃がゼロで利益が多く見える一方、次年度に急に費用が増えるなど、利益の波が出てしまうことがありました。
今回の改正では、家賃を全期間で平均して費用にできるため、決算の数字が安定しやすく、資金計画を立てやすいというメリットがあります。
中小企業も対象に
新リース会計基準を採用していない中小企業でも、損金経理(帳簿に費用として記録)していれば同様の処理が可能です。
つまり、「大企業向けのルール」ではなく、中小企業にも使える制度になっています。
注意点
ただし、すべてのフリーレント契約が対象になるわけではありません。「課税上の弊害がある」と判断されるケースは、平均計上が認められません。主な例は以下のとおりです。
無料期間を除いた場合の家賃との差が20%を超えるような不自然な契約
無料期間が4か月を超え、1年のうち半分以上が家賃ゼロまたは極端に少額になる契約
このようなケースでは、従来どおり「支払時に費用計上」する必要があります。
今後の動き
この改正により、会計と税務のルールがそろい、企業にとってより実務的でわかりやすい形になります。
クラウド会計ソフト(freee、マネーフォワードなど)でも、今後はフリーレントの平均計上に対応した設定が増えるとみられます。
店舗やオフィスの契約を検討している企業は、「家賃の支払いタイミング」と「税務上の費用計上タイミング」をセットで確認しておくことが大切です。
まとめ
フリーレント契約の税務ルールが明確化(2025年4月以降適用)
家賃総額を期間でならして費用計上できる
中小企業も損金経理をしていれば対象
