その「おすすめ」は誰が決めた?— アルゴリズムとAIの正体を知る
- 智史 長谷川

- 2025年8月2日
- 読了時間: 4分
SNSや検索サイトで「自分にぴったりの情報」が表示されることに、便利さを感じていませんか?
でもその情報、本当にあなた自身が選んだものでしょうか?
実は、私たちの目に入る情報の多くは「アルゴリズム」という仕組みによって選ばれたもの。
宇田川敦史さんの著書『アルゴリズム・AIを疑う』は、この“見えない仕組み”を読み解き、私たちに必要な「メディアとの付き合い方」を教えてくれます。
記事の要約
アルゴリズムは便利な反面、「誰かの価値観」によって設計されている
私たちは自覚しないうちに、似た意見だけを見せられる「情報の偏り」にさらされている
情報を「信じる」前に、「どう選ばれたか」を一歩引いて考える「情報の免疫」が必要
情報やメディアとの付き合い方・情報的健康
アルゴリズムって何?
アルゴリズムとは、もともと「問題を解決するための手順」を意味する言葉です。
実は、料理のレシピもアルゴリズムの一種。たとえば「肉じゃがを作るには、じゃがいもを切って、肉を炒めて…」と手順を決めておけば、誰でも同じ料理が作れますよね。
同じように、SNSや検索エンジンも「この人にはどの情報を表示すればいいか」を判断するための手順——つまりアルゴリズム——が組み込まれているのです。
でも、その手順を決めたのは誰?
ここで大切なのは、「その手順を誰が、何を基準に決めたのか?」という視点です。
たとえばSNSでは、あなたの「いいね」や「検索履歴」などから、「これが気に入るだろう」と判断された情報が優先して表示されます。
でも、どう判断するかはプラットフォームを作った人や企業が決めています。
つまり、「便利さの裏側には“誰かの意図”がある」ということです。
アルゴリズムは私たちの“注意”を狙っている
今のネット社会は「アテンション・エコノミー(注意の経済)」と呼ばれています。
情報があふれる中で、私たちの「注目」をどう集めるかがビジネスのカギになっているのです。
だからアルゴリズムは、「あなたが気になって見てしまう情報」をどんどん表示してきます。
動画、記事、広告…あなたが長く画面を見てくれるよう工夫されています。
でもそれって、ちょっと「ジャンクフード」に似ていませんか?
手軽で美味しいけど、体にはあまりよくない。情報にも同じことが言えるのです。
エコーチェンバーって知ってますか?
自分と似た考えの情報ばかりに囲まれていると、知らず知らずのうちに「違う意見に触れない」状態になります。これを「エコーチェンバー」と呼びます。
たとえば、SNSで表示される投稿がいつも似たような内容だったり、同じような広告ばかり出てきたりするのもその一例です。知らないうちに、自分の視野が狭くなってしまうのは怖いですね。
情報の“食生活”を見直そう
本書でとくに印象に残ったのが、「情報にも健康的な食生活が必要だ」という考え方です。
偏った情報ばかりを摂取するのは、栄養バランスの悪い食事と同じ。
私たちは、情報にも「原材料(=どんなデータから作られたのか)」や「調理法(=どんなアルゴリズムで選ばれたのか)」を意識することが求められているのです。
情報を“ネタ”にする、もう一つの考え方
SNSや検索結果を、ただの「便利なツール」として使うのではなく、「ネタ」として見る視点も紹介されています。
たとえば、「なんでこんな投稿が出てきたんだろう?」「自分はどんな情報ばかり見ているかな?」と疑問を持つだけでも、アルゴリズムに振り回されにくくなります。
これは情報を“遊具”のように扱う感覚。「見る目」を育てる第一歩です。
よくある質問
Q. アルゴリズムに逆らうことはできる?
A.完全には難しいですが、「自分の情報の食べ方を選ぶ」ことはできます。たとえば、異なる立場のメディアにも目を通す、SNSのおすすめばかり見ずに自分で検索するなどの工夫が有効です。
Q. 子どもにも関係ある話?
A.もちろんです。子どもたちは早くからスマホやYouTubeに触れますが、情報の背景を知る機会はあまりありません。家庭や学校での「メディアの授業」がますます大切になってきます。
Q. 仕事にも影響する?
A.あります。経営判断やマーケティングでも、「表示される情報=真実」ではないと気づいていないと、誤った判断につながることも。ビジネスパーソンにも必要な視点です。
まとめ
アルゴリズムは、便利な道具である一方で、私たちの価値観や行動に大きな影響を与える存在でもあります。
大事なのは、情報をただ「受け取る」のではなく、「どう選ばれたか」にも意識を向けること。
宇田川敦史さんの『アルゴリズム・AIを疑う』は、そうした視点を育ててくれる一冊です。
情報社会を生きる私たちが、「自分の頭で考える力」を取り戻すための大切なヒントが詰まっています。
試してみよう!
SNSのタイムラインに出てくる情報を「なぜこの投稿が表示されたのか?」と観察してみる
普段読まないニュースサイトや記事にも目を通してみる
家族や同僚と「最近どんな広告が出てきた?」という話題で盛り上がってみる(それも立派なメディア・リテラシー!)
