top of page
BLOG: Blog2

税務調査が入りやすい会社の特徴とは?今すぐ見直したいポイント

  • 執筆者の写真: 智史 長谷川
    智史 長谷川
  • 7月3日
  • 読了時間: 5分

「うちは小さな会社だから関係ない」と思っていませんか?

実は税務調査は規模に関係なく、どの会社にも訪れる可能性があります。


そして、ある特定の特徴を持つ会社ほど、税務調査の対象になりやすい傾向があります。

調査を避けることはできませんが、調査を“呼び込みやすくする”要素を減らすことは可能です。

この記事では、税務調査が入りやすい会社の特徴と、それを避けるために今すぐ見直したいポイントをわかりやすく解説します。



記事の要約


  • 税務調査は「ランダム」ではなく、「傾向」と「リスク」に基づいて行われる

  • 決算や申告内容に“異常値”や“他社と比べて不自然な点”があると、調査対象になりやすい

  • 事例とともに、見直すべき経理・税務管理ポイントを解説



税務調査が入りやすい会社の特徴とは?


税務署は、次のような要素から税務調査対象を選定しています。


1. 収益と経費のバランスが不自然

売上に対して経費が極端に多い、赤字が数年続いているなどの場合、「本当に赤字なのか?経費が過大ではないか?」と疑われやすくなります。


2. 業種特有の調査頻度が高い

現金商売や脱税リスクが高いとされる業種は、調査対象になりやすいです。例としては以下のような業種があります。

  • 飲食店・理美容業・建設業などの現金取引が多い業種

  • 不動産業やインフルエンサーなど収入が多様な業種


3. 税理士がいない、もしくは申告ミスが多い

税理士が関与していない、もしくは帳簿の整合性が低い会社は、調査対象になりやすくなります。税務署は「プロのチェックが入っていない=ミスが多い可能性」と見なします。


4. 外注費・交際費が多い

交際費の多用や、実態の不明な外注費が多い場合、「架空経費では?」という疑念が生まれます。


5. 同業他社との比較で異常値がある

税務署はKSK(国税総合管理)システム等を活用し、同業他社との比較データから異常値を検出しています。特定の指標(売上高・粗利率・交際費率など)で業界平均から大きく外れていると、調査対象になるリスクが高まります。


6.過去に税務調査で指摘や追徴課税を受けたことがある

一度重要な指摘を受けた会社は、再度調査対象になりやすい傾向があります。


7.内部告発や投書があった場合

退職者や取引先からの内部告発があった場合、調査対象になることがあります。



事例紹介:調査が入ったケース


ケース①:飲食店A社の場合

背景: 毎年赤字申告を続けていたが、生活は裕福に見えた

調査のきっかけ: 売上に対して経費比率が90%を超え、異常値として税務署にマークされた

結果: 売上除外(いわゆる“抜き”)が判明し、追徴課税200万円+延滞税


ケース②:建設業B社の場合

背景: 外注費が売上の70%近くを占めていた

調査のきっかけ: 下請け業者に関する情報提供(タレコミ)

結果: 実際には架空の業者だったことが発覚。役員報酬と認定された。



今すぐ見直したいポイント


1. 帳簿、領収書・請求書など証憑類の整理整頓


帳簿と実際の取引を整合させることが第一です。領収書や請求書は取引日・金額・相手先などが明確になっているかを確認しましょう。

ポイント:

  • 会計の仕訳に対して、根拠(領収書など)があることを確認する

  • 領収書・請求書はスキャンして電子保存→クラウド会計の仕訳に添付する


2. 経費の「名目」や「使用実態」、証拠書類の保存を徹底


経費計上する場合、その使用目的が事業と関係していることが必要です。さらに、それを裏付ける証憑の保存が重要です。

具体例:

  • 交際費:誰と何の目的で使ったか(会食記録を残す)

  • 外注費:契約書、業務指示書、納品書を保管


3. 税理士との連携を強化する


「会計ソフトで申告できるから大丈夫」と思わず、税務の専門家と定期的に打ち合わせをしましょう。

理想的な連携:

  • 決算だけでなく、月次レビューを行う

  • 税務調査の傾向や対策を事前に相談



よくある質問(FAQ)


Q1. 税務調査ってどれくらいの頻度で来るものですか?

A. 一般的には中小企業の場合、5〜7年に1度と言われています。ただし、不自然な点がある場合は3年以内に来るケースもあります。


Q2. 調査は突然来るのですか?

A. 通常は「事前通知」があり、日程を調整して行われます。ただし、悪質な脱税の疑いがある場合は、無予告での“強制調査”になることもあります。


Q3. 現金商売で売上除外をしていた場合、どうなりますか?

A. 発覚すれば、追徴課税・重加算税(35%程度)・延滞税が課されるうえ、悪質と判断されると刑事告発もあり得ます。



まとめ


税務調査は避けられないものですが、「入りやすくなる特徴」は事前に防ぐことができます。

帳簿や申告内容に異常値や不自然な点があると調査の対象になりやすいという事実を意識し、日頃から透明性の高い会計処理と書類整備を心がけましょう。

KSKシステムによる業界比較も導入されており、見た目の「普通さ」が重要視されています。



試してみよう


  • 過去3年分の帳簿・領収書を整理する → 不足や不明点があれば今すぐ補足しよう

  • 交際費・外注費・旅費などの明細を「目的つき」で記録する → 将来の調査対策にも有効

  • 税理士と年1回以上、税務リスクの棚卸しミーティングを行う → 税務署の動向や調査で問題になりやすい傾向を確認しよう

関連記事

すべて表示
外国法人と交わす契約書の「作成場所」に注意 ― 印紙税の課税を回避するための実務ポイント

記事要約 日本国内で作成された契約書は印紙税の課税対象となるが、国外で作成された場合は非課税。 外国法人と契約を交わす際には、「どこで作成されたか」を証明できる記録を残すことが重要。 郵送記録やメールの保存、契約書への「作成場所」明記が有効な対策。 ニュース概要 (出典:税務通信 第3866号(2025年9月8日)) 税務通信の記事によると、外国法人と契約書を交わす際に「作成場所」が日本国内か国外

 
 
令和8年から「二重扶養」問題に本格対応へ

扶養控除の重複適用を防ぐための新システム導入 記事要約 ・令和8年(2026年)から、自治体間で扶養情報を共有する新システムが導入。 ・住民税側での「二重扶養」チェックが強化され、国税(所得税)にも情報が共有される。 ・年末調整や確定申告での扶養控除の誤りが、後日自動的に是正される可能性が高まる。 ニュース概要 (出典:税務通信 第3864号 2025年8月25日) これまで、別々の市町村に居住す

 
 
フリーレントの税務ルールが明確に!2025年度から新しい取扱いに

記事要約 「フリーレント(家賃が一定期間無料)」の法人税処理ルールが新設 2025年(令和7年)4月以降の事業年度から、「賃料総額を期間で割って費用にできる」 中小企業でも、会計処理とそろえて対応できるようになる ニュース概要 (出典:税務通信 第3862号・国税庁...

 
 

​​

Hasegawa CPA Office

​東北/仙台市

Copyright ©  Hasegawa CPA Office All Rights Reserved.

bottom of page