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令和8年から「二重扶養」問題に本格対応へ

  • 執筆者の写真: 智史 長谷川
    智史 長谷川
  • 10月16日
  • 読了時間: 4分

扶養控除の重複適用を防ぐための新システム導入


記事要約


・令和8年(2026年)から、自治体間で扶養情報を共有する新システムが導入。

・住民税側での「二重扶養」チェックが強化され、国税(所得税)にも情報が共有される。

・年末調整や確定申告での扶養控除の誤りが、後日自動的に是正される可能性が高まる。



ニュース概要

(出典:税務通信 第3864号 2025年8月25日)


これまで、別々の市町村に居住する家族が同じ親族を「扶養親族」として申告しても、自治体同士が情報を共有できず、扶養控除の重複(いわゆる「二重扶養」)が見抜けないケースが多くありました。


たとえば、A市に住む兄とC市に住む妹が、それぞれB市在住の母親を扶養親族として申告した場合、自治体間で連携がなければ重複が判明しませんでした。


この課題に対応するため、令和8年から新しい情報連携システムが導入されます。

各自治体は中間サーバーに扶養関係情報を登録し、他の自治体と照会することで、重複扶養を容易に把握できる仕組みが整います。


重複が判明した場合は、どちらの扶養が正しいか確認・是正され、その情報は税務署にも共有。所得税・住民税の両方で修正が行われる流れになります。



中小企業や個人事業主にとっての影響


1. 年末調整での誤りが見逃されにくくなる


これまでは「別居の親族」「兄弟姉妹での扶養」などのケースで、誤って重複申告しても自治体側で把握が難しい状況でした。

令和8年以降は、扶養申告内容が自動照合されるため、誤りがあれば後日是正の通知が届く可能性があります。

企業は、年末調整時に提出される「扶養控除等申告書」の内容確認をこれまで以上に丁寧に行う必要があります。


2. 社員への影響も増加


二重扶養が発覚すると、扶養控除の取り消しや税額の再計算が行われ、社員本人に所得税や住民税の追徴・還付が発生することがあります。

経営者や人事担当者は、社員に正確な申告を促す案内を行うことが重要です。


3. 自営業者や家族経営にも波及


確定申告を行う個人事業主も、住民税のデータを通じて照合されるため、親族間で重複して扶養申告を行うと、後日修正指摘を受ける可能性があります。


実務で注意すべきポイント


(1)扶養控除等申告書のチェック強化

・社員から提出された扶養親族の情報を丁寧に確認する。

・特に「別居している親族」「共働きの配偶者」「複数の兄弟姉妹による扶養」などは重複リスクが高い。

・所得金額要件(配偶者58万円以下、扶養親族58万円以下など)の確認も忘れずに。


(2)家族構成や住所変更の届出徹底

・結婚・離婚・転居・別居など、家族状況が変わった場合は必ず申告してもらう。

・特に「別居している親の扶養」「大学進学で住所が変わった子の扶養」などは誤りやすい。


(3)人事担当者の説明体制を整える

・年末調整前に社員へ注意喚起を行い、二重扶養のリスクを理解してもらう。

・「親族の中で誰が扶養に入れるか」を事前に話し合うよう促す。

・社員からの問い合わせに対応できるよう、税務の基本的な知識を共有しておく。



よくある質問(Q&A)


Q1. 夫婦で同じ子どもを扶養に入れていた場合は?

→ 新システムで重複が確認され、どちらか一方の扶養が取り消されます。取り消し後は追徴課税が発生することがあります。


Q2. 兄弟それぞれが別居中の親を扶養に入れている場合は?

→ 令和8年以降は自動的に照会され、二重扶養が判明します。事前にどちらが扶養者となるかを家族間で確認しておきましょう。


Q3. 扶養控除を取り消された場合の影響は?

→ 過去分の所得税・住民税が再計算され、追加納税や還付が発生します。給与天引きや確定申告で調整される場合もあります。



まとめ


・令和8年から、扶養控除の重複適用を防ぐ新システムが導入される。

・自治体間で扶養情報を共有し、誤申告を自動的にチェック。

・企業や個人事業主は、扶養申告書の確認と社員教育を強化することが重要。


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