top of page
BLOG: Blog2

退職金の税負担が変わる?2025年改正で退職所得控除の調整「9年ルール」に変更

  • 執筆者の写真: 智史 長谷川
    智史 長谷川
  • 6月17日
  • 読了時間: 3分

更新日:6月18日


これから退職を迎える方、もしくはiDeCoや小規模企業共済に加入している方にとって、2025年の税制改正は要注意の内容です。


特に複数の退職金を受け取る可能性がある方は、受給時期によって税負担が大きく変わることに。


本記事では、「退職所得控除の調整規定」がどう変わったのか、そして経営者や自営業者が注意すべきポイントをわかりやすく解説します。


記事要約(出典:税務通信 3853号、2025年6月2日)


  • 退職所得控除の調整対象期間が「4年→9年」に拡大

  • 小規模企業共済の一時金も対象に含まれるため影響がある

  • 2026年1月1日以降に受け取る退職金から新ルールが適用



退職所得控除とは?


退職所得控除とは、退職金を一時金で受け取る場合に適用される「非課税枠」のことです。退職金は老後の生活資金として重要な役割を持つため、税金面で大きな優遇が設けられています。

つまり、退職金のうち一定額までは税金がかからず、残りの部分にだけ税金がかかる仕組みです。


計算方法

退職所得控除額は、勤続年数によって決まります。計算式は以下の通りです。

勤続年数

退職所得控除額の計算式

20年以下

40万円 × 勤続年数(80万円未満の場合は80万円)

20年超

800万円 + 70万円 ×(勤続年数-20年)


改正の内容

項目

改正前(~2025年12月31日まで)

改正後(2026年1月1日以降)

退職所得控除調整規定の対象期間

・退職手当等の受給年の前年以前4年内に他の退職手当等を受給した場合


・DC一時金の受給年の前年以前19年内に他の退職手当等を受給した場合

・退職手当等の受給年の前年以前9年内にDC一時金を受給した場合も対象に追加

・DC一時金は変更なし(19年内)

控除の調整が不要となる受給間隔

5年以上空けて受給すれば調整不要(例:60歳でDC一時金、65歳で退職金)

10年以上空けて受給すれば調整不要(例:60歳でDC一時金、70歳で退職金

小規模企業共済の扱い

退職手当等の受給年の前年以前4年内に他の退職手当等を受給していなければ調整不要

退職手当等の受給年の前年以前9年内にDC一時金を受給していなければ調整不要

DC一時金に係る「退職所得の受給に関する申告書」の保存期間

7年

10年

源泉徴収票の提出義務

居住者である役員のみ

すべての居住者に拡大

実務への影響

5年以上間隔を空ければ控除を満額利用できるケースが多かった

10年以上間隔を空けなければ控除の重複排除が適用され、税負担が増加

適用開始日

2026年(令和8年)1月1日以降支払分から


補足説明

  • 「DC一時金」とはiDeCoや企業型DCなど確定拠出年金の一時金受給を指します。

  • 「退職手当等」には企業退職金や小規模企業共済の解約手当金等が含まれます。



どのように対策を取るべきか?


退職金受取のスケジューリングがより重要に

「DC一時金→10年以上→退職手当等」という流れであれば、控除の二重適用が可能になります。控除額をフル活用したい場合は、受給の時期をずらす戦略が効果的です。小規模企業共済も対象に含まれるため、計画的に備えることが重要になります。



まとめ


  • 2025年度税制改正により、退職所得控除の調整対象期間が「4年」から「9年」に延長されました。

  • iDeCo、小規模企業共済、企業退職金など、退職所得が重複する場合は控除額が減るリスクがあります。

  • 今後は、退職金の受給タイミングを計画的に設計することが、節税のカギとなります。


最新記事

すべて表示
税務調査が入りやすい会社の特徴とは?今すぐ見直したいポイント

「うちは小さな会社だから関係ない」と思っていませんか? 実は税務調査は規模に関係なく、どの会社にも訪れる可能性があります。 そして、 ある特定の特徴を持つ会社ほど、税務調査の対象になりやすい傾向があります。 調査を避けることはできませんが、調査を“呼び込みやすくする”要素を...

 
 

​​

Hasegawa CPA Office

​東北/仙台市

Copyright ©  Hasegawa CPA Office All Rights Reserved.

bottom of page