top of page
BLOG: Blog2

初めて従業員を雇うときに必要な会社の手続き・準備

  • 執筆者の写真: 智史 長谷川
    智史 長谷川
  • 8月27日
  • 読了時間: 4分

「そろそろ従業員を雇いたい。でも、どんな準備や手続きが必要なのか不安…」


初めての採用では、社会保険や税務署への届出だけでなく、雇用契約書や労務管理の体制整備など、会社として行うべきことが数多くあります。

本記事では 、会社が対応すべき準備・手続きをまとめました。



記事要約


本記事では、初めて従業員を雇う際に必要な「会社がすべきこと」を整理しています。

  • 採用前に整えるべき社内ルール(雇用契約書・就業規則・給与規程)

  • 採用後に必要な届出(労働保険・社会保険・税務)

  • 実務上の体制整備(給与計算・勤怠管理・労務トラブル防止)



会社の必要手続き


1. 採用前に整えるべきこと


1-1 雇用契約書の作成

労働基準法では、賃金・労働時間・休日などの労働条件を書面で明示する義務があります。

  • 労働条件通知書(必須事項:契約期間・勤務地・業務内容・賃金・労働時間・休暇)

  • 雇用契約書(双方署名捺印)として兼用するとトラブル防止に有効。


1-2 就業規則の整備

  • 常時10人以上の従業員を雇う場合は、就業規則を作成し労基署へ届け出る必要があります。

  • 10人未満でも「ルールを文書化」しておくとトラブル回避につながります。


1-3 36協定の締結・届出

  • 時間外労働や休日労働をさせる場合は、労使協定(36協定)を締結し労基署に届出が必要。


<会社が入社前に用意する主な書類>

  • 雇用契約書・労働条件通知書

  • 扶養控除等申告書

  • 健康保険被扶養者異動届・国民年金第3号被保険者届(扶養者がいる場合)

  • 採用通知書(内定通知書)

  • 入社誓約書


<入社する従業員が用意する主な書類>

  • 雇用保険被保険者証番号(過去に雇用保険加入履歴がある場合)

  • 基礎年金番号

  • 給与振込先の口座情報

  • 源泉徴収票(前職がある場合)

  • マイナンバー


2. 採用後に必要な届出


2-1 労働保険(労災・雇用保険)

  • 労災保険:「労働保険関係成立届」を労基署へ。

  • 雇用保険:「雇用保険適用事業所設置届」「被保険者資格取得届」をハローワークへ。



<雇用保険の加入条件>※労災保険は下記にかかわらず要加入

  • 週の所定労働時間が20時間以上、かつ31日以上継続して雇用される見込みがある人


2-2 社会保険(健康保険・厚生年金)

  • 法人は原則必須。個人事業主は「常時5人以上」の場合。

  • 「健康保険・厚生年金保険新規適用届」「資格取得届」を年金事務所へ。



<社会保険の加入条件>

  • 一般労働者…所定労働時間・所定労働日数が正社員の4分の3以上、かつ、契約期間が2ヶ月以上の人

  • 短時間労働者…下記要件すべてを満たす人

   ・週の所定労働時間が20時間以上

   ・賃金が月額8.8万円以上

   ・学生以外(定時制や夜学等を除く)

   ・2ヶ月以上継続して雇用が見込まれる

   ・従業員が51人以上の事業所


2-3 税務署関連

  • 「給与支払事務所等の開設届出書」 → 1か月以内に税務署へ。

  • 源泉徴収のため、給与から所得税を天引き → 翌月10日までに納付。

  • 「源泉所得税の納期特例の承認に関する申請書」を提出すると、半年ごと納付にできて小規模事業者に便利。


2-4 法定三帳簿

  • 「労働者名簿」「賃金台帳」「出勤簿」を作成する


3. 実務体制の整備


3-1 給与計算の仕組み

  • 給与計算ソフト(例:freee人事労務)で社会保険料や源泉税を自動計算。

  • 手作業はミスが多いため、必ずシステムを導入する。


3-2 勤怠管理

  • 出勤簿・タイムカード・クラウド勤怠システムを導入。

  • 労働時間の記録は「未払い残業」トラブル防止の必須ポイント。


3-3 社会保険料・税金の納付フロー

  • 社会保険料 → 翌月末までに納付(銀行口座引落しが便利)。

  • 源泉所得税 → 翌月10日(納期特例なら年2回)。


4. 従業員との関係を整える仕組み


4-1 安全衛生管理

  • 常時50人以上の事業所は産業医の選任義務あり。

  • 小規模でも「職場の安全配慮義務」を果たすため、労災対応や職場環境整備が重要。


4-2 給与明細の交付

  • 電子交付も可能。給与の透明性を保ち、信頼関係を築く。


4-3 マイナンバー管理

  • 給与支払いや社会保険届出でマイナンバーを扱うため、適切な管理を実施できるように準備する。



手続き対応のヒント


  1. リスト化して抜け漏れ防止 

    雇用契約・労務ルール・保険加入・税務手続きを一覧化し、期限をカレンダー管理。


  2. 人事労務freee等のクラウドシステム活用 

    給与計算・勤怠・社会保険手続きを一元管理して業務効率化。またマイナンバー管理もシステムで安全に管理。


  3. 専門家に初期相談 

    社会保険労務士や税理士に初期相談し、最初のフローを整備することで自走可能に。



まとめ


初めて従業員を雇うとき、会社がすべきことは「書類の提出」だけではありません。

  • 採用前の準備:雇用契約書、就業規則、36協定

  • 採用後の届出:労働保険・社会保険・税務署への手続き

  • 実務体制の整備:給与計算、勤怠管理、マイナンバー対応


この流れを押さえておけば、安心して雇用をスタートできます。


関連記事

すべて表示
高齢者の金融所得が医療保険料に反映へ 配当・利子のみ対象

【ニュース概要】 (出典:日本経済新聞 朝刊 2025/11/19) 政府は、高齢者の金融所得(株式配当・利子など)を医療保険料の算定に反映する制度を導入する方針を固めた。これまで確定申告をしなければ金融所得が保険料計算に入らず、保険料や窓口負担が軽くなる“未申告優遇”が問題となっていた。 制度は 2020年代後半に開始予定で、まずは75歳以上の後期高齢者医療制度に適用される見込み。 【このニュー

 
 
離婚と税金|財産分与・マイホーム・譲渡所得をめぐる“知らないと損する”ポイントを整理

離婚は法律・手続きだけでなく「税金」も大きく影響します。 特に自宅(持ち家)を財産分与する場合、 名義変更だけで「譲渡所得」が生じ、予想外の税負担 が発生するケースがあります 。 本記事では、日経電子版(2025年11月23日)「離婚と税 財産分与、自宅の値上がりで思わぬ課税も」の内容をもとに、離婚と税金の実務ポイントを体系的にまとめます。 中小企業経営者・個人事業主・資産形成中の方にとっても重要

 
 
遺産全体がマイナスでも相続税がかかる?知らないと危ない“債務控除の落とし穴”

【ニュース概要】 出典:日本経済新聞「マイナスの相続で『申告不要』のはずが、まさかの税負担2500万円」(2025/11/22) 東京都内の一等地に商業ビルを持つ父が亡くなり、相続人は子ども3人。時価10億円(相続税評価額4億円)のビルには7億円のローンが残っており、遺産全体で見ると“マイナスの相続”。家族は「相続税の申告不要」と思い込んでいたものの、後日、長女・次女に約2,500万円の税負担が発

 
 

​​

Hasegawa CPA Office

​東北/仙台市

Copyright ©  Hasegawa CPA Office All Rights Reserved.

bottom of page