【2025年改正】青色事業専従者給与の変更は「妥当性」がカギ!控除見直しに乗じた増額はNG?
- 智史 長谷川
- 6月23日
- 読了時間: 3分
更新日:6月30日
2025年の税制改正により、所得税の基礎控除や給与所得控除の金額が大きく引き上げられました。
これに伴い、「青色事業専従者給与も増やせるのでは?」と考える個人事業主の方も多いかもしれません。
しかし、単なる控除枠の拡大だけで支給額を増やすと、税務署から否認されるリスクも。
この記事では、制度改正の概要と支給額変更の「妥当性」について、ポイントを整理してご紹介します。
(出典:税務通信 3855号 2025年06月16日)
記事の要約
青色事業専従者給与の支給額変更には「労務の対価として相当かどうか」という妥当性が求められる
控除額引き上げを理由とした支給額増額は、原則として認められない
妥当性があると判断される具体例として「全従業員の賃上げ」や「業務量の増加」等がある
制度と改正内容の概要
青色事業専従者給与とは
青色申告者(個人事業主)が、生計を一にする配偶者や親族に支払う給与について、以下の4要件を満たす場合に限り、必要経費として算入できる制度です。
青色申告者と生計を一にする15歳以上の親族で、事業に6か月超従事していること
「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出済みであること
届出書に記載された金額・範囲内で支給していること
労務の対価として妥当な金額であること
税制改正の内容
基礎控除額が48万円 → 95万円、給与所得控除が55万円 → 65万円に引き上げられ、これにより年間給与収入160万円まで所得税が非課税となりました(従来は103万円まで)。
個人事業主にとっての影響
【チャンス】
「妥当性」が認められれば、専従者への支給額を増やすことで、経費算入額が増え、所得税負担の軽減につながる可能性があります。
【注意点】
支給額が「労務の対価として相当」でなければ、経費計上できず、税務署に否認される可能性があります。
影響に対する対策
① 増額には「理由」と「根拠」が必須
以下のような実態があれば、支給額の見直しが認められる可能性があります。
ケース | 認められる可能性 |
他の従業員(パート含む)と同様に賃上げを行った場合 | ○ |
青色事業専従者の業務負担が増えた(他従業員が辞めた等) | ○ |
単に課税最低限が引き上げられたから | × |
② 変更時は「変更届出書」の提出を忘れずに
支給額を変更する際は、事前に「青色事業専従者給与に関する変更届出書」を税務署へ提出しましょう。
明確な法定期限はありませんが、できるだけ早く、支給前に提出するのが望ましいとされています。
今後の動向と留意点
特に家族経営の事業者においては、「形式的な増額」や「実態なき支給」がチェック対象になる可能性があります。
支給額を見直す際は、業務内容や勤務時間、他の従業員とのバランス等、説明できるよう資料を整理しておくと安心です。