経営管理体制の構築
経営管理体制の意義は、広範囲に捉えることも可能ですが、ここでは企業の経営ビジョンを効果的に達成するための目標管理および運用と定義して、経営管理体制の全体像についてご紹介していきます。企業の規模などにより管理方法は大きく異なりますが、PDCAサイクルを愚直に実行していく姿勢は同じです。その他、行動計画を立案及び実行するうえで、スタートアップ企業などではスピード感や効率性がより求められる一方で、中堅企業では社内コミュニケーションが重要になるなどの違いもあります。
1.経営管理体制を強化する目的
経営管理体制を強化する主な目的は、経営環境の変化に対してスピーディに、そして柔軟に施策を打ち、成長機会を捉えることにあります。また、組織的に経営を行うことで経営人材の育成につながることも期待できます。
経営管理体制の全体像をシンプルに表現すると、企業のミッション・ビジョンを設定し(問題提起)、これらを実現するための戦略を立案し、数値計画・行動計画への落とし込みを行う(仮説の設定)ことです。当然にその後の計画と実績の比較(仮説の検証)も重要な作業になります。また、多面的な視点で戦略目標を検討するにあたり、広く利用されているバランス・スコアカードもあわせてご紹介します。
(参考)バランス・スコアカードについて
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バランス・スコアカードは、ロバート・S・キャプラン(ハーバード・ビジネス・スクール教授)とデビット・ノートン(コンサルタント会社社長)が1992年に「Harvard Business Review」誌に発表した業績評価システムである。
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特徴は、従来の財務指標中心の業績管理手法の欠点を補うものであり、財務的指標に非財務的指標である顧客の視点、業務プロセスの視点、学習と成長の視点を加えて、多面的な切り口でビジョンと戦略の実現をマネジメントする点にある。
2.経営管理体制強化の流れ
先にも述べましたが、経営管理体制の本質は、問題提起、仮説設定、仮説検証になります。これらをスピードをもって繰り返すことで、仮説の質が向上し、経営環境の変化に対応していくことが現実的となってきます。また、問題の真の原因が正しいかどうかを見直すことで、効果的な施策につなげることができます。
STEP1 問題提起(ギャップ分析)
STEP1では、ミッ ション及びビジョンを策定し、現状とのギャップを問題として把握します。また、把握された問題の原因を多面的に分析することが必要になります。
問題を多面的に理解することで発想を広げることができ、問題の原因を深堀りすることで正しい仮設を設定できます。
STEP2 仮説の設定(戦略の策定)
STEP2では、STEP1で設定した問題を解決するための戦略を検討し、多面的な戦略目標(財務、非財務)に落とし込みます。
さらに、ロードマップを作成し、ビジョン到達までの戦略の道筋を可視化します。
STEP3 仮説の検証(計画の振り返り)
STEP3では、実績値を集計し、目標とのギャップを分析します。問題と仮説の見直しを行うことで、仮説設定の質を上げ、次の行動目標につなげます。