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エンジェル税制が拡充!繰戻し還付制度が新設されました

  • 執筆者の写真: 智史 長谷川
    智史 長谷川
  • 3 日前
  • 読了時間: 3分

記事要約(出典:税務通信3851号 2025年5月19日)


2025年の税制改正(令和7年度)で、スタートアップ支援を目的とした「エンジェル税制」が拡充されました。


新たに創設された「繰戻し還付制度」により、株式譲渡益が出た翌年にスタートアップ株へ再投資すれば、前年分の所得税を還付請求できるようになります。


対象は2026年(令和8年)1月以降の再投資から。還付を受けるには、再投資の予定を記載した書類を確定申告書に添付して提出する必要があります。



納税者への影響:チャンスとリスクを整理


チャンス:翌年まで再投資を待てるように


これまでのエンジェル税制では「株の売却益が出た年のうちに再投資」する必要があり、年末に売却した人は慌てて投資先を探さねばなりませんでした。


しかし今回の改正で、翌年の12月31日まで再投資すれば還付の対象になります。


こんな人に朗報です:

  • 年末に株の売却益が出たが、投資先を急いで決めたくない方

  • 利益が出た翌年にじっくり有望なスタートアップを選びたい方


注意点:申告ミスで還付が受けられない


制度を使うには、「翌年に再投資予定であることを書いた書類」を前もって令和7年分の確定申告書に添付しなければなりません。


この提出を忘れると、再投資しても還付が受けられません。



実務対応:やるべきことを時系列で整理

タイミング

やること

備考

2025年(令和7年)中

株式を売却して利益が出た

売却益に対する税金が発生

2026年(令和8年)1月〜12月

スタートアップ株(特定株式)に再投資

「エンジェル税制」対象企業であることが条件

2026年3月頃

令和7年分の確定申告書に「再投資予定」等を記載した書類を添付し提出

この書類がないと還付不可

2027年(令和9年)確定申告時

令和8年分の申告で還付請求

再投資額の一部が控除未済だった場合に繰戻し還付が可能


注意:短期売却にはペナルティ的な仕組みも


改正ではもうひとつの変更点もあります。


再投資後すぐに(翌年内に)特定株式を売却した場合、これまでは最大20億円まで非課税でOKだった措置が適用されなくなります。


つまり、短期的に売り抜けを狙う投資家は、調整計算(=課税)されるリスクがあるということです。


長期的に成長を応援する本来の制度目的に沿った活用が求められます。



まとめ


今回の改正は、「制度を知って準備した人だけが得をする」内容です。


逆に言えば、提出書類を忘れたり、投資タイミングを間違えると還付が受けられません。


特に年末に売却予定のある方、あるいはスタートアップ投資に関心のある個人投資家は、以上の点を意識しておきましょう。

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