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価格を上げても顧客が離れない戦略とは?

  • 執筆者の写真: 智史 長谷川
    智史 長谷川
  • 5月30日
  • 読了時間: 4分

「物価も人件費も上がっている。でも価格を上げたら、お客様が離れてしまうのでは……?」

そんな不安を抱える経営者や個人事業主は多いのではないでしょうか。

しかし、実際には価格を上げても「むしろ顧客が増えた」「利益率が改善した」という事例も少なくありません。

この記事では、価格改定をチャンスに変える“顧客が離れない”戦略を紹介します。



記事の要約:


  • 価格を上げても顧客が離れない理由は「価値」が伝わっているから

  • 事前の説明と“納得感”が価格改定の成否を左右する

  • 価格改定の成功事例とよくある失敗例から学ぶ実践ポイント



価格を上げても選ばれる企業の共通点


価値>価格 の関係を作る


「価格が高い=損」とは限りません。むしろ、「価格が上がっても納得できる」サービスや商品は顧客にとって魅力的です。


【図表:価値と価格のバランスイメージ】

項目

顧客にとっての印象

価格<価値

お得・また利用したい

価格=価値

納得・普通

価格>価値

高い・割に合わない


この「価値」は、機能面だけでなく、信頼・対応力・安心感なども含まれます。


「価格を上げる=信頼の証」に変える


価格を上げる理由を、正直に・丁寧に説明することで、むしろ顧客との信頼関係が深まることもあります。


【事例】

ある美容室では、人件費・材料費の上昇に合わせて500円の値上げを実施。

事前に「価格改定の背景」「サービス維持のための必要性」「今後の改善予定」を手紙で伝えたところ、ほとんどの顧客が応援メッセージを送ってくれた。



値上げ戦略の3つのステップ


ステップ1:価格改定の「理由」を明確に


価格改定の背景を、以下のように伝えましょう。


  • 材料費・物流費の高騰

  • スタッフの待遇改善

  • サービス品質維持・向上

  • 環境負荷低減など社会的配慮


【補足ポイント】単なる「コスト増」だけでなく、「顧客に還元される価値」もセットで伝えることが大切です。


ステップ2:タイミングと伝え方に配慮する


  • 少なくとも1か月前には告知

  • 一斉連絡よりも“個別対応”の方が効果的な場合も

  • お得なセット商品や定期利用特典を同時に提示


【図表:価格改定時の告知テンプレート例】

内容

メッセージ例

挨拶

いつもご利用ありがとうございます。

改定の背景

昨今の原材料費・光熱費の高騰を受け、

今後の姿勢

今後もより良いサービスをお届けするための対応です。

改定内容・時期

〇月〇日より価格を〇円に変更させていただきます。


ステップ3:価格以上の価値を実感してもらう


価格改定後は、顧客の「期待値」が上がっています。

以下のような取り組みが効果的です。


  • アフターサービスの充実

  • 相談対応のスピード改善

  • 商品パッケージや案内ツールの見直し

  • お礼メールや手書きメッセージ


【事例】

ある地域密着型の食品小売店では、仕入れ価格や物流費の上昇を受けて、主要商品の価格を値上げしました。

その際、単なる値上げではなく、「生産者の顔が見えるカードPOP」や「今月のおすすめレシピカード」を各コーナーに設置、また、定期的に試食イベントを始めることで、商品の背景やこだわりをお客様に“体験”してもらえる仕組みを導入した結果、リピーター率増加と客単価改善につながった。



よくある質問(Q&A)


Q1:価格を上げたら本当に顧客が減らないんですか?

A:全員が残るわけではありません。しかし、価格より“関係性”を重視する顧客に絞られることで、利益率が改善され、ビジネスは安定しやすくなります。


Q2:値上げを断られたらどう対応すれば?

A:一律値上げにこだわらず、長期顧客には旧価格を一定期間維持するなど柔軟な対応も可能です。


Q3:競合他社より高くなってしまいますが大丈夫ですか?

A:価格だけでなく、独自の強みや体験価値を明確に伝えましょう。競合と比較される場合こそ、「自社ならでは」の価値を再認識してもらうチャンスです。



まとめ


価格改定は「失うリスク」ではなく、「選ばれる理由を磨く機会」と捉えることが大切です。以下の3つを意識すれば、値上げをしても顧客は離れません。


  • 価格ではなく“価値”で選ばれる存在になる

  • 価格改定の背景を丁寧に伝える

  • 顧客の期待を超えるサービス改善を行う



試してみよう(実践アクション)


  1. 自社の商品・サービスの「価格以上の価値」を棚卸してみる(顧客アンケートが効果的)

  2. 価格改定時の告知文や案内資料を事前に作成する

  3. 価格改定後に追加できる小さな“感動ポイント”を考えてみる

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